超高性能パネルで再び世界トップへ
逆襲のインリー
最大効率 驚異の22.5% 出力保証 異例の30年後83.5%
かつて世界トップに君臨した太陽光パネル大手メーカー、中国インリー・グリーンエナジーの新製品が話題を呼んでいる。6月に日本で発売した超高性能パネルだ。画期的な新兵器で再び覇権を狙うのか、新製品の魅力と同社の新戦略を探る。
インリーが、満を持して画期的な太陽光パネルを世に送り出した。高出力タイプ『PANDA』シリーズの新兵器で、N型単結晶にして両面発電の『PANDA BIFACIAL』シリーズだ。日本法人、インリー・グリーンエナジージャパンが今年6月から日本で売り始め、早くも話題を呼んでいる。
というのも、真っ先に目を奪われてしまう王道の出力値。定格出力は320Wとし、これでも充分高出力だが、この新製品、両面発電タイプゆえ、反射光も裏面で受光して発電する。それも加味すると、出力は最大で375Wまで上振れするというのだ。パネル変換効率にして実に22.5%。世界トップの記録を優に塗り替えたことになる。
インリー・グリーンエナジージャパンの山本譲司社長は、「実発電量は、通常のPANDAと比べると10〜30%アップします。60セルでこの高出力品はどこにもありません」と、半ば興奮ぎみに語り、高出力路線に舵を切る構えを示した。
新製品は、圧倒的な高出力が売りだが、それだけではない。裏面は通常のバックシートではなく、ガラスを採用したため、長期耐久性が格段に向上している。インリーは同製品を購入したユーザーに対して、30年という長期のリニア出力保証を付与するのであるが、驚くべきは極めて小さい経年劣化率。同社は25年後に初期出力値の86%を、30年後も同83.5%を保証しており、長期耐久性においても、世界トップクラスを実現した。
この発電性能と耐久性の両面で世界トップ級の快挙を成し遂げた超高性能な太陽光パネル。パネル単体では非の打ちどころがないのであるが、システムとしてその実力を最大限引き出したいユーザーには、とっておきのPCS(パワーコンディショナ)があるらしい。
インリー・グリーンエナジージャパンの中路基成技術部長は、「当社のパネルは、どのPCSと組み合わせても、高いパフォーマンスを発揮します」と前置きしたうえで、「ただ、より高出力を求められる方には、パワーオプティマイザを搭載したソーラーエッジさんのPCSがお奨めです」という。
通常のPCSの場合、同じストリング内に、影がかかって発電しないパネルが存在すると、低い出力に引っ張られ、高出力のメリットが薄れてしまう。一方、パワーオプティマイザには、各太陽光パネルの最大電力点を常に個別に追従する機能があるため、ソーラーエッジのPCSを使用すると、ストリング内に発電しないパネルがあっても、ストリング全体の発電量が低下することはないのだ。
インリーは、超高性能な太陽光パネルを開発し、さらにソーラーエッジと組んだことによって、超高性能な太陽光発電システムの商品化に成功したのである。