[特別対談 第13回]

監視システムの役割

メテオコントロールジャパン 山時義孝社長 × ESI 土肥宏吉社長

ヨーロッパ・ソーラー・イノベーションの土肥宏吉社長による特別対談。今回は、監視システム世界大手、独メテオコントロールの日本法人で代表取締役を務める山時義孝氏を迎えて、監視システムの役割を伺った。

土肥氏●4月から改正FIT法が施行され、O&Mが事実上義務化されることになりました。日本でもO&Mの市場が本格的に立ち上がると思いますが、このタイミングで、監視システムで世界トップクラスの販売実績を持つメテオコントロールさんが正式に日本法人を設立されました。そこで今回は日本市場での販売戦略などもお伺いしたいと思いますが、まず貴社の概要についてお話しください。

 

山時氏●メテオコントロールは、世界各国に遠隔監視システムを導入しており、累計で4万1000件、出力換算で12.4GWに達しています。ただ、当グループは、監視システムの販売だけではなく、発電量の予測システムや気象データを活用したサービスの販売も手掛けています。ドイツでは全電源に占める太陽光発電の割合が30%以上ですから、系統の安定化を図るうえで太陽光発電の発電量予測が重要なのです。ドイツには送電会社が4社ありますが、各社でご利用いただいております。

 

土肥氏●日本でも太陽光発電がさらに増え続けると、気象の変化によって太陽光発電の発電量が大きく変動するため、あらかじめ発電量を予測することは、系統のバランスを維持するうえで重要になるでしょう。やがて、ドイツのように、PCS(パワーコンディショナ)による出力制御が当たり前になると思うのですが、ドイツでは出力制御を効率的に運用していますよね。

 

山時氏●はい。ドイツでは、PCSの出力を監視システムで制御しています。日本とは異なり、欧州ではPCSのプロトコルが共通なので、監視システムで制御しやすいのです。

 

土肥氏●ところで、貴社は今後日本で事業を展開されていかれるわけですが、どのような戦略を描かれているのでしょうか。

 

山時氏●大きく2つあり、1つは監視システムの販売です。メテオコントロールの監視システムは高機能なので、高圧や特別高圧の発電所向けの提案になります。当グループは、発電所を資産と捉えており、監視システムには発電所のパフォーマンスレシオ、つまり発電所の稼働率で、発電量をモジュール出力と日射量の乗数で割った値ですが、これを常時自動計算する機能を設けています。年1回、月1回といったペースではなく、毎日必要に応じてお出しできるので、資産運用の観点で発電所を運営される方にとって有効にご利用いただけると思います。

 

土肥氏●それはO&Mを本格的に実施される事業者にとって非常にありがたい機能です。太陽光発電と気象計測、発電量予測の技術やノウハウを融合させたメテオコントロールならではの機能なのでしょうね。

プロフィール●土肥宏吉(どひ・こうきち)1973年東京都生まれ。97年一橋大学商学部卒業後、遠心分離機大手の巴工業に入社し海外営業に従事。2011年ドイツで太陽光関連企業を設立。12年に太陽光専門商社ESIを設立、代表取締役に就任。