[特別対談 第12回]

日本メーカーのグローバル展開

田淵電機 貝方士利浩社長 × ESI 土肥宏吉社長

ヨーロッパ・ソーラー・イノベーションの土肥宏吉社長による特別対談。今回は、PCS(パワーコンディショナ)国内大手、田淵電機の貝方士利浩社長を迎えて、グローバル展開について意見を交わした。

土肥氏●貴社は、日本のPCSメーカーでは珍しく海外に展開されています。そこで今回は、日本メーカーのグローバル展開について、お伺いできればと思いますが、まず2016年の総括と17年の抱負についてお話ください。

 

貝方士氏●16年は過去最悪の業績でした。ドイツやスペインで起こったことが日本でも起こり得ることを想定し、売上の減少に備えて対策を講じていたのですが、結果として挽回できませんでした。

当社は住宅用や低圧分野を主戦場としていましたが、この領域はある意味JET認証に守られていたのです。一方、高圧領域はフリーマーケットで、例えるならば、ノーガードで殴り合う市場です。昨年は高圧領域の需要が旺盛だったので、当社も参戦しましたが、海外メーカーのコスト競争力に敗れたというのが正直なところです。

しかし、当社にはPCSを開発して20年以上の歴史があります。このまま負け続けるわけにはいきませんから、17年は、W単価を下げてほしいという市場のニーズに応えた製品を発売して、巻き返すつもりです。

もちろん当社のマルチストリング方式に魅力を感じていただいているお客様には、機能性を重視した製品を用意しています。コスト要求から機能性まで、幅広いニーズにお応えして、競争に打ち勝っていきます。

 

土肥氏●マルチストリング方式の貴社のPCSは、影に強く、トラブルの特定も早いので、まさにストリング監視機能付きのPCSですよね。ところで、7つのMPPT付きDC/DCコンバータを搭載した三相33kW機を発表されると聞いていますが、発売はいつ頃になるのでしょうか。

 

貝方士氏●製品は出来上がっていますので、4月にも正式にリリースする予定です。三相の25kW機と33kW機はフルMPPT方式ですから柔軟なパネル設計が可能になります。一括で制御できるマスターボックスを併用すれば、PCSの多数台設置による試運転やメンテナンスなどの煩わしさは解消されます。高圧発電所向けに提案していきます。

プロフィール●土肥宏吉(どひ・こうきち) 1973年東京都生まれ。97年一橋大学卒業後、遠心分離機大手の巴工業に入社し海外営業に従事。2011年ドイツで太陽光関連企業を設立。12年に太陽光専門商社ESIを設立、代表取締役に就任。