世界ナンバーワンのトリナが目指す日本戦略

2014年、太陽電池出荷量で世界1位となる公算が高いトリナ・ソーラー。通期出荷量は3.61から3.66GWを予測し、純損益でも大幅な黒字化を予定している。世界最大となる太陽電池メーカーは日本で何を目指すのか。14年10月に日本法人、トリナ・ソーラー・ジャパン社長に就任した陳曄(チェン・イエ)氏が日本戦略を語った。

フレームレス両面ガラス構造「DUOMAX」

かつて高紀凡CEOが、我々に示したビジョンが「ティア1の太陽電池メーカーを目指そう」でした。ティア1とは世界のトップ3を意味します。そして今年の目標ははっきりしています。世界ナンバーワンです。

ナンバーワンの地位を確立するために重要なのが、第一にR&D(研究開発)です。より高い変換効率を実現していく。直近でも3度目となる変換効率世界新記録を樹立し、単結晶シリコンセル60枚で構成されたモジュールで335Wという世界最高となるピーク出力を達成済みです。

2点目が、顧客に付加価値の高い製品を供給するための新しい製造ラインです。新たな製造ラインの構築によって、耐久性に優れた「両面ガラスモジュール」やシステム全体を監視する「トリナ・スマート」という新製品を投入してきたわけです。

とくにトリナ・スマートは、スマートカーブと呼ばれる開放電圧の削減によって、ストリングにより多くのモジュールをつなげることが可能であり、さらに出力の最適化によって、システムコストの削減を実現します。またスマートフォンやパソコンなどから、パネル1枚ごとの出力のモニター、出力停止ができることも大きなメリットとなります。

3つ目は製造工程を管理する品質管理システムの完成です。そして4つ目が単なるモジュールメーカーではなく、再生可能エネルギーを通じて社会に対する責任を果たす企業へと成長することです。

世界の太陽電池マーケットを見れば13年の約40GWから、14年には50GW近くまで増加する見込みです。20年には100GWまで拡大すると予想されています。

我々にとって最大市場は米国、中国、そして日本、ついで欧州が続く。アメリカには広大な国土があり、今後も太陽電池のブームが続くでしょう。中国は14年出荷量が当初見込みの13GWから、11月に約10GWに修正されましたが、全体的には成長が続いています。

日本は13年から14年でピークを迎え、15年は出荷量がやや減少に転じると予測しています。しかし、私は日本での先行きをポジティブに見ています。

なぜか。設備認定を受けた太陽光発電所が約69GWであるのに対し、稼働済みはわずか11GW程度にすぎない。その差は50GW超もあります。

50GW超の半分は〝バブル〟で、計画したものの、資金手当てができないといった理由で事業を開始できない事業者がかなりいるでしょう。とはいえ、20GW超だけが導入されるとしても、今後3年平均で年間7GWという市場規模です。これは大きなマーケットといえます。

日本は安全な社会、成熟した規制体系を有した市場であるため、投資環境として非常に良好といえます。そのため外資は、今後もメガソーラーへの事業機会を狙って日本へ参入するでしょう。

スマートフォンやパソコンでも発電状況がわかり、出力停止も可能な「トリナスマート」。スマートカーブの応用によりストリングの長さを30%有効に使え、また出力の最適化によりシステムコストを削減