発電性能と耐久性を追求

CSUNの5本バスバーモジュール

中国太陽電池製造のチャイナサナジー(=CSUN)が、5本バスバー電極を採用した太陽電池の販売に本腰を入れている。セルの研究開発で中国をリードする同社が、5本バスバー構造の優位性を導き出した。

5本バスバー構造を採用するWaratah多結晶60セル260W(左)とQSARII単結晶60セル280W(右)

変圧器メーカーの中電電気が2004年、新エネルギー分野への事業拡大に伴って設立したCSUN。設立3年目で米ナスダックに上場し、現在は南京・上海・トルコの3拠点で合計1.3GWの生産体制を構える。研究開発の指揮を取るCTOの趙建華氏は、かつて太陽電池研究の名門、豪ニューサウスウェールズ大学のシリコン太陽電池研究センターに所属。趙氏の研究チームは、99年に研究用の単結晶シリコンセルで変換効率24.7%の記録を打ち出すなど、世界の太陽電池研究をリードしてきた。

その趙CTOの功績もあって、同社は、中国政府が主導する『国家ハイテク研究発展計画』の太陽電池分野において、研究リーダーに指名されている。毎年各企業が変換効率の目標を設定し、その達成に向けて国が支援するプロジェクトで、同社は14年にセル変換効率20.5%を達成、目標を0.5ポイント上回った。

その同社が現在販売を強化しているのが5本バスバー電極構造のモジュールだ。太陽電池には、セルでつくられた電気を流すバスバー電極と言われる「電気の通り道」があり、通常は2〜3本セルの表面に設置するケースが多いが、同社は5本バスバー構造を推奨する。

5本バスバーの研究に着手したのは12年。欧州の太陽光市場の縮小が顕著になり、CSUNは生産能力の増強を止め、『技術主導』という理念に立ち返り、他社製品との差別化を図る商品開発を行ってきた。

バスバー電極の数が増えれば、それだけ表面の受光面積も減るのではという疑問に、CSUN日本法人の劉雲洲社長は、「1本1本のバスバーの太さを細くしたため、従来の3本バスバー製品と受光面積は変わらない。バスバーの本数を増やしたことで、セル内で生み出した電気を余すことなく取り出すことができる」と話す。

セルの内部では抵抗や再結合によって一部の電子が消滅している。バスバーを増やせば、電気の移動距離が短くなり、電気の収集能力が高まるため、こうしたロスが抑えられ、セル本来の発電能力を活かすことができるという。

また、5本バスバー構造は、従来の3本バスバーに比べてセルの破損を防ぐ効果もある。5本バスバーモジュールを使用した際、運搬時等に発生するマイクロクラックの発生率が低下することが同社試験で確認された。変換効率のみならず、強度の面でも5本バスバーが理想の形だと実証した。

5本バスバー構造のモジュールは、単結晶60セル280W、多結晶60セル260Wで量産体制を築いており、既にTÜVとJET認証を取得済みだ。