盗難抑止に一役!
古河電工のアルミ導体ケーブル
太陽光発電所で銅線ケーブルの盗難が多発するなか、対策として有効な古河電工のアルミ導体ケーブルが注目されている。現場では実際に効果が出始めているようだ。
EPC(設計・調達・建設)を手掛けつつ、計35MWに及ぶ太陽光発電所を運営するつくば電気通信(茨城県土浦市)は2021年年初に古河電気工業グループのアルミ導体ケーブルを採用した。ただ、当初の目的は盗難抑止効果を狙ったものではなかったようだ。
実際、つくば電気通信経営企画室の正木大輔室長代理は、「FITの売電単価の減額と、銅の価格高騰を受け、新たに開発する太陽光発電所の建設費削減を目的にアルミ導体ケーブルの採用を検討しました」と語る。
ただその検討の最中に、つくば電気通信は茨城県鉾田市内の自社の太陽光発電所でケーブルの盗難に遭ったため、是正工事でケーブルが必要になり、アルミ導体ケーブルを初めて使用した。むろん、同社はアルミ導体ケーブルの盗難抑止効果にそこまで着目しておらず、後に有効性を知るのであるが、それは当時、盗難被害がそう多くなかったからである。
それがこの数年で状況が一変した。関東地方を中心に銅線ケーブルの盗難被害が相次ぎ、今では契約更新時に盗難被害を保険の適用外にする保険会社まで現れ、対策が求められている。
そもそもアルミ導体ケーブルの使用が盗難抑止対策になるのは、アルミの価格が安いからだ。近年高騰している銅の価格と比べ、資源量が豊富なアルミの価格は4分の1程度だから、アルミ導体ケーブルを盗む価値は低く、結果として盗難の抑止になるのである。
正木室長代理は、「アルミ導体ケーブルは、警備システムと同じく盗難の抑止力になるので、当社ではEPC事業でも積極的に採用しています」とし、これまで盗難被害に遭った19ヵ所の太陽光発電所のケーブルをアルミ製に交換したという。
もっとも、古河電工のアルミ導体ケーブルは被覆が青色で、銅線ケーブルとの違いは一目瞭然だ。太陽光発電所の入口にアルミ導体ケーブルの使用を知らせる看板を掲げると効果があるようで、正木室長代理はこう述べた。
「アルミ導体ケーブルに交換した直後に現場を見回った際、フェンスの一部が破られていましたが、近くのケーブルの配管が切られていただけで盗まれていませんでした。犯人はアルミ導体ケーブルだと気付き、犯行を諦めたのだと思います」。
同社は、こうした盗難未遂を複数の太陽光発電所で確認しているだけに、アルミ導体ケーブルの盗難抑止効果を確信しているのだ。
一方、施工性の向上もアルミ導体ケーブル使用の利点だ。つくば電気通信工務部電設事業課の稲葉駿主任は、「銅よりも軽いため、引っ張り作業が楽になりました。しかも、柔らかく曲げやすいので、狭い場所で端子などを付けやすいというメリットを感じています」とし、ケーブルドラムの搬入回数なども効率化できたという。
古河電工のアルミ導体ケーブルは太陽光発電所になくてはならない存在になりそうだ。