ジャパンパワーサプライ、発電所の運用サービス本格化

太陽光ディベロッパーのジャパンパワーサプライ(釜谷正宏社長)が、発電事業者を対象に太陽光発電所の運用サービスを本格化している。EPC(設計・調達・建設)で培ったノウハウを活用して、独自のO&M(オペレーション・アンド・メンテナンス)を提供。今後は電力買取りも視野にサービスの拡充を図る考えだ。

FIT(固定価格買取り制度)を活用した発電事業は、20年に亘る長期のビジネスだ。発電事業者にとっては太陽光発電所を建設してからが本格スタートであるから、支障なく発電する状態を維持するための運用が重要になる。それを担保するのがO&Mであるが、O&Mサービスを提供する業者も多く、内容も異なるだけに、その形態はまだ固まっていない。

ただ、O&Mは早期発見・早期復旧がカギ。不具合を解決するO&M業者が、発電所の事情に詳しければ詳しいほど作業の効率は上がるはずだ。とすれば、実際に発電所を設計して建設したEPC企業がO&Mまで引き受ける形が、主流になるのではないだろうか。

土地開発からEPCまで一貫して手掛けてきたジャパンパワーサプライも、EPCならではのO&Mサービスを展開している。

遠隔監視システムを設置して、発電の不具合を早期に発見する管理体制を導入し、定期点検や緊急時の駆けつけサービスも要望に応じて実施している。なかでも特徴的なのは地盤の調査だ。

「地盤は目に見えない形で変化しています。特に大雨が降った後は、経年による土砂などの流出や外部周辺への影響なども詳細にチェックしなければなりません」(ジャパンパワーサプライ経営企画室)。

同社は、物件探しや許認可手続きはもちろん、設計や電気工事、施工に加えて、土木工事まで自社グループ内で一貫して実施している。それだけに、建設中に地盤の特徴などを把握し、O&Mの際に確認すべきポイントを押さえているのだ。そして予期しない大雨や台風が発生した場合は、迅速に現場へ駆けつけ、パネルへの影響だけを見るのではなく地盤の状態や発電所周囲のチェックを行っている。

このように発電事業者向けのO&Mサービスを展開する傍ら、同社はIPP(独立系発電)事業にも着手しようと検討している。

「発電事業者様への運用サービスを拡充していくには、自社で発電所を所有し、同じ目線に立たなければ、本当のニーズを汲み取ることができないと考えました。また、O&Mサービスは長期間、継続して実施していかなければなりませんから、当社自体の経営が安定し、存続していくことが大前提です」。

同社は現在、茨城県内や東北地域で、特別高圧線へ連系する出力30MW以上の大型案件も複数開発を進めている。