[特別対談 第7回]

パネルメーカーの将来

ジンコソーラージャパン 淺野晃弘社長 × ESI 土肥宏吉社長

ヨーロッパ・ソーラー・イノベーションの土肥宏吉社長とキーパーソンの特別対談。今回は太陽電池世界大手ジンコソーラーの日本法人を率いる淺野晃弘社長とパネルメーカーの将来について語り合った。

土肥氏●貴社は原料から一貫生産する結晶シリコン系のパネルメーカーのなかで最も勢いがあり、業界内でも実力№1との声もあります。高品質なパネルを適正価格で販売できる量産技術を磨きながら、先駆けてPID対策を進め、高出力化への開発スピードも早いので、マーケティング部門と開発部隊が上手く連携されているのでしょうね。

 

淺野氏●当社はグローバルで競争していますが、設立から漸く10年目を迎えた若い会社です。各セクションの責任者は皆若く勢いがあります。

今期の第1四半期と第2四半期は、世界でトップレベルの出荷を達成しましたが、これは、シリコンの引き上げから始め、一気にパネル製販に展開し、そして中国と米国という主戦場を押さえられたことが勝因だと思っています。

 

土肥氏●貴社は、日本への進出がグローバル企業のなかで最後発だったので、色々とご苦労もあったのではないでしょうか。

 

淺野氏●メガソーラー向けに展開しましたので、とくにバンカビリティ(融資適格性)とブランディングには力を入れました。販売会社さんのお力添えをいただき、昨年は300MW程度、日本でパネルを販売することができました。今年は日本の市場が30%ほど縮小すると言われていますが、当社は昨年を上回る出荷を目指しています。

 

土肥氏●パネルメーカーさんに対しては、どのメーカーが新技術をいち早く開発して量産レベルに反映されるのか、興味があります。日本のメーカーさんもまだまだ発展を遂げられるでしょうし、中国のメーカーさんも非常に勢いがありますから、今後は東アジアが開発競争の主戦場になるかもしれません。

 

淺野氏●太陽光パネルは、結晶系と薄膜系のほかに今後は新技術も出てくるでしょうが、最終的にどれかひとつだけが残るというよりは、特性が異なる複数のタイプが共存し、設置場所や条件に合った形で導入されるようになると思います。我々結晶系メーカーは、今のパーク(PERC)技術をベースに高効率化を追求しますが、同時にもう一段上の技術開発にも挑戦していく必要があると思います。

プロフィール●土肥宏吉(どひ・こうきち) 1973年東京都生まれ。97年一橋大学卒業後、遠心分離機大手の巴工業に入社し海外営業に従事。2011年ドイツで太陽光関連企業を設立。12年7月にESIを立ち上げ、代表取締役に就任。14年にO&M世界大手グリーンテックと提携、日本で先進的なO&Mを展開中。