ファーウェイ製PCSの新機能〝スマート故障診断〟の魅力
ユーザー目線の設計思想
一般に、太陽光発電所は遠隔地に建てられることが多く、現場対応にはコストが嵩む。現場でいざ測定しようとしても、一定以上の日射量が得られなければ、I-Vカーブを測定できず、再度測定し直さなければならないケースもある。あるいは、異常の疑いが生じたために現地へ赴いたが、単に建物の陰が原因だったという場合も少なくない。発電所の規模が大きくなるほど、I-Vカーブ測定に人員や時間、費用がかかり、基本であるはずの検査が難しくなる。
そこでファーウェイは、通信とPCSの技術を活かして今回の新機能の導入を決めた。薛ディレクターは、「太陽光発電所の心臓部であるPCSで、発電所の運用を可能な限り自動化させたいと考えています。お客様が発電所を賢く運用できる手助けをしたかったのです」と開発の経緯を語る。
同社は、当初から自然放熱式冷却を採用し、ファンやヒューズなど交換部品をPCSに使用していないが、それは交換に伴う費用負担やユーザーの手間を省くためだった。つまり、同社の設計思想は、徹底したユーザーの利便向上であり、今回のI-Vカーブ測定機能の追加も、ユーザーの負担軽減を図るのが狙いだったわけだ。
とはいえ、新機能は単純なものではない。確かに、I-Vカーブの計測機能をPCSに搭載し、遠隔でそのデータを取得することは他のメーカーにもできよう。だが、I-Vカーブの情報から故障原因の特定することは技術的に難しい。まさに、独自の通信技術と豊富なデータの量、さらにはそれを分析する情報処理能力を持つ同社ならではの新技術なのだ。