ヨーロッパ・ソーラー・イノベーション、ラインナップ拡充

ヨーロッパ・ソーラー・イノベーション(=ESI、土肥宏吉社長)が、国内外の有力企業と関係を強め、提案力を高めている。顧客のニーズに合わせて複数の発電設備を提供できる体制を築いた。国内外で販路を拡げる狙いだ。

「太陽光パネルとPCS(パワーコンディショナ)の調達先を広げました。ようやくお客様の要望に合わせて、最適な発電設備を提案できる体制が整いました」。

ESIの土肥社長は、晴れやかな表情でこう語る。

それもそのはず。太陽光パネルでは、従来の独ソーラーワールドのほかに、パナソニックやソーラーフロンティア、中ジンコソーラー、中フォノソーラー、韓ハンファQセルズから仕入れるルートを確保し、PCSでは、独SMAと田淵電機、パナソニック、山洋電気、TMEICに加え、新たに中サングロウと取引を開始。国内外の有力メーカーと取引関係を構築したことによって、ESIの提案の幅は一気に広がったのだ。

とはいえ、単に品数を増やせばよいというものではない。土肥社長は、製品を選ぶ基準について、「あくまでもお客様のニーズを充分満たせるかどうか」とし、そのために、「ニーズを徹底的に分析し、メーカーさんの工場を見学させていただいたうえで、最適と思える製品を取り揃えたのです」と経緯を述べた。

具体的には、顧客の志向を3つにカテゴライズし、さらに出力50kW未満の住宅・低圧、50kW以上2MW未満の高圧、2MW以上の特高と規模別に分けて細分化した。そのうえで各々のニーズに対して最適なシステムを提供できるよう、製品を選定したのだ。

3つの顧客の志向のうち、1つ目はメイド・イン・ジャパンである。土肥社長によると、「日本の製品イコール壊れにくく品質の良いものだと捉えて、日本の製品を好まれる方がいらっしゃいます。国内だけでなく、東南アジアや中東、アフリカなどでも海外でも日本製品は人気があります。これはあらゆる分野で、日本のメーカーが、長い年月をかけて築き上げた財産です。ですから、期待を裏切らないよう、日本メーカーのなかでも、優れた製品を選ばせていただきました」。

ESIは日本の製品を好むユーザーに対して、住宅・低圧向けの場合は、パネルがパナソニック、もしくはソーラーフロンティア、PCSはパナソニックか、田淵電機を提案している。高圧向けは、パネルはソーラーフロンティアで、PCSは田淵電機か、山洋電気。特高になると、パネルはソーラーフロンティアで、PCSはTMEIC(東芝三菱電機産業システム)である。

2つ目の志向はコストだ。できる限り初期コストを抑えたいという要求は、国内外問わず共通しているから、このニーズには外せない。しかし土肥社長はこう強調する。

「コストが安ければそれでよいという考えはありません。お客様は20年に亘る発電事業を始められるわけですし、太陽光発電所は電力インフラの一翼を担わなければなりませんから。コストの安い製品こそ、品質面を厳しく確認させていただき、一定の基準を満たしているものを販売しています」。

現在ESIは、コストを求めるユーザーに中国製品を提供しているが、品質に着目し、パネルはジンコソーラーとフォノソーラー、PCSはサングロウの製品を扱っている。

そして最後の3つ目は、プロフェッショナル志向である。すなわち、大型発電所を複数開発してIPP(独立系発電)事業でグローバル展開を狙うプロの事業者向けの製品だ。

これについて土肥社長は、「プロの方は、EPC(設計・調達・建設)やO&M(管理・保守)も含めて、トータルのコストパフォーマンスを追求されます。設備に対する知見も豊富なので、性能やコストだけでなく、長期耐久性にも着目し、世界基準と照らし合わせながら様々な角度から判断されます。そこで当社は、独ソーラーワールドさんのパネルと独SMAさんのPCS、低圧向けには韓ハンファQセルズさんのパッケージシステムも提案しています。なかでもSMAさんの引き合いは好調ですね」と説明する。