[特別対談 第6回]

PVアセットマネジメントの必要性

日本リビング保 証荒川拓也会長 × ESI 土肥宏吉社長

ヨーロッパ・ソーラー・イノベーションの土肥宏吉社長と業界のキーパーソンの特別対談。今回は太陽光関連製品からO&M(管理・保守)の領域まで幅広く保証サービスを提供している日本リビング保証の荒川拓也会長をお迎えして、アセットマネジメント(資産管理)の必要性について考察を深めた。

プロフィール●土肥宏吉(どひ・こうきち) 1973年東京都生まれ。97年一橋大学商学部卒業後、遠心分離機大手の巴工業に入社し海外営業に従事。2011年独ミュンヘンで太陽光関連企業を設立。12年7月に太陽光専門企業ヨーロッパ・ソーラー・イノベーションを立ち上げ、代表取締役に就任。14年4月にはO&M世界大手のグリーンテック社と提携、日本で先進的なO&Mを展開している。

土肥氏●私が荒川会長とお知り合いになったきっかけは、貴社が提供されていらっしゃったPCS(パワーコンディショナ)の第3者保証です。一定の限度額を上限にPCSの交換費までサービスに含むという内容が衝撃で、思わずお声がけさせていただいたのです。ですから当時のことはよく覚えています。ではまず貴社の取り組みを紹介いただけますか。

 

荒川氏●はい。当社はもともとハウスメーカーさんやディベロッパーさんの裏方で住宅設備の保証サービスを提供してきました。損害保険会社が当社の株主ですから、保険のプログラムをベースに保証サービスを商品化してきたのです。やがて業容を広げ、住宅用太陽光システムの設備メーカーから業務を受託して太陽光パネルやPCSの保証を始めるようになりました。ユーザーの設備が故障すると、現場に急行し、2次対応までワンストップで行います。いまではメガソーラーまで対象を広げ、メーカー保証のバックアップからO&M業者さんを対象にした総合補償まで幅広く手掛けています。

 

土肥氏●貴社は、長く住宅設備の保証サービスをやってこられた実績がバックボーンにあって、それを太陽光業界に持ち込まれたので、次々に新しい商品を提供していけるのでしょう。どれも魅力あるサービスだと思いますが、とくにO&M総合補償制度は画期的だと思います。というのも、日本の太陽光業界では、太陽光発電所をアセットマネジメントするという慣習が根付いていないからです。

太陽光発電所を複数所有されているIPP(独立系発電)事業者は、会社の資産を投じて発電所を開発し、設備から定期的に収入が生まれるので、これはもうアセットマネジメントの領域です。本来はアセットマネージャーのような役割を担うO&M業者の存在が必要なのですが、メーカー保証や各種保険の適用範囲をよく理解されないまま、O&Mのメニューを組まれているケースが多いのです。

そこで当社は、提携先の独O&M大手グリーンテック社とともにアセットマネジメントの考え方を導入して、お客様目線のO&Mメニューを日本で提供しているのですが、まだまだ浸透していません。ですから、貴社が必要な保険を最適に組み合わせたO&M総合補償制度を提供されると、O&Mサービスの価格の平準化に繋がりますし、太陽光業界の底上げになると思います。

プロフィール●荒川拓也(あらかわ・たくや) 1971年千葉県生まれ。95年早稲田大学法学部卒業後、大手損害保険会社に入社。米国系保険ブローカーを経て、2009年日本リビング保証の代表取締役に就任。