世界を塗り替える中国ファーウェイのPCS

グローバル出荷15GWへ

通信機器大手の中国ファーウェイ(華為技術)が、PCS(パワーコンディショナ)で世界を席巻している。2015年に出荷量が前年比3.5倍の10.5GWに達し、製造開始から僅か5年で世界首位の座をさらった。ファーウェイはなぜ強いのか。

新発売のSUN2000-33KTL-JP/40KTL-JP。最大変換効率は98.8%、MPPT4回路を搭載する。PLCで通信するため、通信ケーブルが不要となり、初期投資が低減される。

ファーウェイが、通信ネットワーク向けの電力供給技術を駆使してPCSを初めて製品化したのは2010年。中国広東省東莞市の自社工場で生産を開始し、徐々に実績を上げたが、当時は後発組で認知度も低く、年間出荷量は数百MWにとどまっていた。

だが、核となる技術を磨きつつ外部への製造委託で量産体制を築くと同時に、販路を拡大。13年に1GWだった年間出荷量は、14年に3GWへ急増し、15年には、中国寧夏回族自治区の出力1GWに及ぶ世界最大級のメガソーラーへ供給するなど中国の旺盛な需要を取り込み、10.5GWに達した。16年には15GWまで出荷を伸ばす見通しである。

日本市場でもファーウェイの勢いは止まらない。14年下半期に日本に上陸すると、初年度こそ50MWにとどまったものの、15年は350MW出荷し、16年は1GWの大台に乗りそうだ。

なぜ後発の同社が大躍進を遂げたのか。足元の中国で内需が拡大するなどの外的要因も大きいが、やはり中型PCSに絞って開発・製造し、分散設置のニーズの掘り起しに成功したからであろう。

事実、日本では、15年から分散設置の需要が喚起され、PCS市場は劇的に変化したが、火付け役は紛れもなくファーウェイだった。同社は27.5kW機と24.5kW機の2機種で、すでに770MW規模の受注を獲得している模様だ。

中国・寧夏回族自治区に建設された世界最大級のメガソーラー。出力は原発1基分に相当する2GW。ファーウェイの分散型PCSが設置され、2015年に稼動した(写真❶)。福岡県内に建設された水上メガソーラー。気密性に優れるファーウェイの分散型PCS が採用された(写真❷)。