[特別対談 第4回]

ベンチャー企業の役割

エコスタイル 木下公貴社長 × ESI 土肥宏吉社長

ヨーロッパ・ソーラー・イノベーションの土肥宏吉社長とキーパーソンの特別対談。今回のお相手は、出力50kW未満の太陽光発電所の建設で躍進しているエコスタイルの木下公貴社長だ。両社長がベンチャー魂をぶつけ合った。

土肥氏●日本の太陽光発電市場が踊り場を迎え、最近は事業を撤退される企業が増えています。業界全体の活力が失われかねない状況ですが、そんな陰鬱な雰囲気を吹き飛ばすかのように、貴社はPV事業で成長路線を歩まれていらっしゃいます。そこで今回は、ベンチャー精神溢れる木下社長に、経営哲学や事業観をお伺いできればと思っています。

 

木下氏●私たちは何か特別なことをやってきたわけではありません。単純に私たちが買いたいと思う商品を追求し、ご提供してきただけです。お客様が投資される商品とは、イコール私たちが投資したいと思う商品ですから、そこに向かって迷うことなく、ひたむきに努力していけば、今後も必ず事業を継続していくことができると確信しています。これからが本番です。気を引き締めていきます。

 

土肥氏●プレミアの3年間、PV業界はかなり優遇されていました。マーケットが盛り上がり、企業は様々な商機に恵まれ、多くの経験を積ませてもらいました。そういう意味では、充分に練習を積んだので、これから試合に挑むわけです。今後はお客様が求めるニーズを汲み取ったサービスをいかに提供できるかがカギでしょうね。

 

木下氏●はい。当社が常日頃心がけているのは、お客様との約束を守ること。約束とは、当社が施工を20年間補償し、お客様の発電所に対して定期点検を継続して実施することです。そのためには、20年後も当社は健全な状態で存在していなければなりませんから、丁寧に、きれいに、施工・販売することを心がけてきました。それが結果として、お客様から評価いただけるようになり、いまでは口コミで新規の注文をいただいております。

長期間の補償とは、言うは易し行うは難しです。そのことはお客様も分かっておられるので、やはり本気の姿勢を見せなければ、お客様と信頼関係を築くことはできません。当社は今後も太陽光事業を継続していきます。

 

土肥氏●心強いお言葉、勇気づけられます。というのも、最近はPV事業から撤退される企業が多く、当社にも顧客サービスなどの引き継ぎの依頼が増えているのです。今後も太陽光事業をしっかりと継続してやっていくという強い意思表示をされている企業が少ないからでしょう。

そう考えると、以前はあまり意識したことはなかったのですが、我々のようなベンチャー企業も、PV業界の将来を背負っていくという責任を持たなければならないと感じています。

向こう1〜2年はたくさんの案件を持たれている企業がまだまだ強いでしょうが、中長期的には、経営理念や事業の目的、あるいは事業モデルがしっかりしている企業でなければ生き残っていけませんから。

我々も貴社と分野は異なりますが、太陽光事業を徹底して継続していきます。

プロフィール●土肥宏吉(どひ・こうきち) 1973年東京都生まれ。97年一橋大学商学部卒業後、遠心分離機大手の巴工業に入社し海外営業に従事。2011年独ミュンヘンで太陽光関連企業を設立。12年7月に太陽光専門企業ヨーロッパ・ソーラー・イノベーションを立ち上げ、代表取締役に就任。14年4月にはO&M世界大手のグリーンテック社と提携、日本で先進的なO&Mを展開している。