SMAパワコン 人気の秘密

日本で累計出荷1GW突破

独SMAソーラーテクノロジーのPCS(パワーコンディショナ)が日本で人気を博している。高効率で耐久性に優れ、豊富な製品数や充実したサポート体制も定評だ。日本上陸から4年半、累計出荷量は1GWの大台に乗った。人気の秘密を探る。

人気上昇中の中型PCS『サニートライパワー』

SMAは、出力換算で40GWに及ぶPCSを世界20ヵ国に拡販してきた。PCSの製販では、長く世界トップに君臨しており、日本市場でも販売を急速に伸ばしている。

日本法人SMAジャパンを立ち上げて、日本でPCSを売り始めたのが2012年8月。以後わずか3年で、500kW以上の大型PCSを1000台、9.9kW〜25kWの中型PCSを1万台、3.5kWと4.5kWの小型機は4万4000台出荷し、累計出荷量は今年9月末で1GWに達した。

SMAジャパンの今年12月期の出荷数量は昨年度比50%増の大幅増が確実で、来期以降も続く見通し。発電事業者は設備認定を取得後もPCSのメーカーを変更できる。太陽光発電所の建設が本格化するなか、SMAへの切り替えが進んでいるのだろう。ではなぜ同社のPCSが売れるのか。

魅力のひとつが高い電力変換効率。太陽光パネル発電した直流電力を交流電力に変換するPCSの基本性能であるが、これがSMAの製品は業界最高クラスだ。SiC半導体などの高価なデバイスを利用しなくても、シンプルな技術で高効率化を実現させており、とくに朝夕の低照度時の効率が高く、実発電量を多く稼げる。

耐久性も優れている。国産大型PCSの多くは、最近までPCSをエンクロージャと呼ばれるコンテナのなかに設置し、冷却設備を併設しなければならなかったが、SMAのPCSはこれが要らない。SMAの独自技術である〝Opticool(特許取得済)〟を使用し、冷却設備なしで屋外での使用を実現している。しかも「10年で交換」の国産PCSに対し、SMAの設計寿命は20年。SMAを採用すれば、維持管理コストを大幅に抑えられる。

また、SMAは製品数が多く、新たなニーズの取り込みに成功している。日本では住宅用の小型PCSから500kWを超える大型PCSまで取り揃えているが、今年9月に発売した25kW中型PCSの人気が上昇している。50kW〜2MW未満の高圧発電所25kWPCSを数十台設置する〝分散設置〟のニーズが拡大しており、出荷を伸ばしているのだ。

太陽光発電所の建設用地に向く平地が減少しており、大型PCSを運ぶ大型車両が通れる道が舗装されていないことも珍しくない。設置の自由度が利く中小型PCSは扱いやすいのだろう。

大型PCSから小型PCSまで豊富な製品ラインナップ