山佐が描くエネルギービジョン

3年内に太陽光発電所300MW運開へ 風力、バイオ、電力卸を見据え人材確保に本腰

多角化経営で年商1000億円の山佐(岡山県新見市、佐野慎一社長)が、エネルギー事業を推進している。2018年度中に計300MWの太陽光発電所を運開させ、今後は風力発電所やバイオマス発電所の開発も視野に入れ、再生可能エネルギーを同社第3の事業に据えるべく、人材の確保に本腰を入れ始めた。

山佐は岡山に拠点を構え、スロットマシンの製販や航空機・船舶のリース、そしてメガソーラー開発の3本柱で成長路線を走っている。2014年3月期の売上高は913億円で、前期もほぼ横ばいで着地する見通しだ。

なかでも、1986年に参入した航空機のリース事業は好調で、エアバスやボーイング社製の航空機を独ルフトハンザや英ブリティッシュ・エアウェイズなどの航空会社に貸し出している。航空機の保有台数は国内トップの172機で、船舶も含めると、総資産は5600億円を超える。

この巨額な資産の分散を目的として、13年に太陽光発電事業に参入した。40円案件こそ出遅れたものの、36円の案件を積極的に開発し、15年5月末時点の稼動済み発電所は全国29ヵ所53.6MWにのぼる。権利付き用地も取得し、当初目標としていた300MWを18年度中に運開する目途が立った。

300MWの中には、東日本大震災の被災地である宮城県亘理町の50MW(AC)の大規模発電所がある。

浸水地での開発という難しい条件に加え、目の前に海を臨む津波のリスク、そして無制限・無補償の出力抑制の可能性などで、プロジェクトファイナンスにはなじまない案件だ。それでも佐野社長は、「誰かが手を挙げてアクションしなければ、その土地はずっと更地のまま活用されなくなってしまう。なんとか土地を有効利用して、被災地の復興に役立てたかった」と、コーポレートファイナンスで建設することを決断した。

このように大型プロジェクトに取り組んだが体制強化が喫緊の課題となっており、佐野社長は、「大規模発電所における建設を総合的に管理した経験のある人は是非とも連絡を頂きたい」と言う。