[特別対談 第34回]
太陽光と新電力の親和性
みらい電力 中西芳比朗社長 ✕ ESI 土肥宏吉社長
ヨーロッパ・ソーラー・イノベーションの土肥社長による特別対談。お相手は名古屋市内に本拠を構える新電力会社、みらい電力の中西社長だ。太陽光と新電力の親和性について意見を交わした。
土肥氏●最近また太陽光発電のEPC(設計、調達、建設)会社と新電力会社の関係が深まっているように思います。客先に設備を設置して発電した再エネ電力を顧客に販売するPPA(電力売買契約)モデル、または第三者所有モデルや無償設置モデルとも言いますが、この形態が増えたことが背景にあるのでしょう。以前から太陽光関連企業が新電力事業へ参入する動きは活発でしたが、新電力事業で継続して利益を上げている企業はそう多くはありません。やはり太陽光のプロと新電力のプロによる協業という形が現実的なのかもしれませんね。
そこで今回は新電力会社の貴社と「太陽光と新電力の親和性」というテーマで意見を交換できればと思います。ではまず、貴社の事業概要からお話しください。
中西氏●当社は、電力自由化後、名古屋市内に本拠を構え、主に再生可能エネルギー電力を販売してきた新電力会社です。新電力会社は250社程ありますが、過当競争が激化し、多くの新電力会社が利益を確保できていないのです。この状況下、当社が存続できたのは、主に2つの要因があります。一つは顧客の95%が公共施設であること。自社の収益性に鑑みて取引先を絞って電力を販売してきました。もう一つは、再エネ電力を販売している点です。縁があって2019年9月に当社は太陽光発電所のディベロッパー、リニューアブル・ジャパンの傘下に入りましたが、当社が再エネ電力の販売を手掛けていた点が決め手となったのです。
土肥氏●親会社、リニューアブル・ジャパンさんの事業概要や、貴社へ出資した経緯などについてもお話しいただけますでしょうか。
中西氏●リニューアブル・ジャパンでは、太陽光発電所の開発からEPCやO&M(管理・保守)、金融スキームまで手掛けています。株主は、東急不動産をはじめ、JXTGエネルギーやシナネンのほか、金融機関です。太陽光発電所の開発実績は、稼働済みが82ヵ所223MW、開発中の案件も含めると103ヵ所623MWです。子会社が資産運用するインフラファンドが東証に上場しており、そこにリニューアブル・ジャパンが開発した太陽光発電所を移して規模の拡大を図っています。
そのリニューアブル・ジャパンが新たに志向したのが、再エネ電力の販売でした。気候変動対策の一環として再エネ電力の需要が拡大しているので、再エネ電力の販売に強い新電力会社と組んで、自社グループの太陽光発電所で発電した再エネ電力を拡販しようと考えたのです。リニューアブル・ジャパンの伊勢事業所長である私が当社の代表を兼務するという形で当社は再始動しました。