〝太陽電池メーカー〟から〝エネルギーソリューションカンパニー〟へ
〝新工法〟で施工時間半減!
同社は、モジュールと並行して、PCS(パワーコンディショナ)や架台なども合わせたシステム全体の商品力の向上にも力を入れている。とくに施工性を高めるための開発には余念がない。
現在約60万通りの施工レイアウトのデータを保有し、新規案件にも迅速に対応できる体制を築いているが、さらにこのほど新工法を開発した。
従来比で部品点数を約30%、施工工数を約40%削減し、それまで2日かかっていた施工を1日に短縮した。施工性を高め、同時に施工品質を向上させる一挙両得の画期的な工法である。
シャープだからできるシステムまるごと保証
そのほかにも、顧客サービスの拡充を目的に、シャープがユーザーに代わって日々の発電を見守り、万一問題が起こった場合はすぐに対応するというウェブモニタリングサービスを提供している。
また、保証サービスも充実させている。従来、太陽光発電業界では10年保証が一般的であったが、シャープは他社に先駆けて15年保証に踏み切った。
これについて、宮永社長は「当社はモジュールやPCSだけでなく、架台やモニター、ケーブルに至るまで、システム全体でまるごと15年保証します。自然災害についても対応します。この保証は30年間の設置実績で大きな瑕疵がないことを保険会社が認めてくれたからできるのであって、シャープだけのオリジナル保証なのです。50年の歴史を持つリーディングメーカーとして、今後も販売店様と一緒になってお客様を守っていく義務があります」と強調した。
自家消費の時代到来にソリューション事業
同社は、先を見据えた商品開発にも力を入れている。宮永社長は、エネルギー利用の今後についてこう予測した。
「家庭用の電力料金は上がっていく一方で、買取り価格は下がっていきます。売電するメリットがなくなれば、今後はいかに上手に自家消費するかがポイントになるでしょう。つまり、太陽光発電で電気を作り、蓄電池に蓄え、HEMS(ホームエネルギーマネージメントシステム)と省エネ家電で賢く消費するようになるはずです」。
そこで同社は『マルチエネルギーモニタ』を発売し、各機器のモニターをひとつにまとめ、太陽光発電システムと蓄電池、エコキュートを制御できるようにした。今後は、ゼロエミッションハウス、スマートハウスに向けの新商品を開発していく構えである。
宮永社長は、「当社は、メーカーという立場で商品を供給するだけではなく、お客様の目線に立ってソリューションを提供していきます。つまり、EPC(設計・調達・建設)やO&M(オペレーション・アンド・メンテナンス)、保証サービスも含めてトータルのエネルギーソリューションを実施していく。それが今後の事業モデルです。今年4月から社名を『シャープエネルギーソリューション』としたのもこのような経緯があったのです」と語った。
〝太陽電池メーカー〟から、〝エネルギーソリューションカンパニー〟へ。進化するシャープから目が離せなくなってきた。