アンフィニ、上場に向け再始動!

子会社ジャパンソーラーを吸収合併 モジュール製造からEPC、IPPまで一気通貫

太陽光発電の有力EPC(設計・調達・建設)企業、アンフィニ(大阪市、親川智行代表取締役CEO)が、株式上場を視野に改組する。10月1日付けで子会社のモジュールメーカー、ジャパンソーラーを吸収し、『アンフィニジャパンソーラー』を発足。国内メーカーとしての強みを活かして、モジュール製造からEPC、IPP(独立系発電)、O&M(オペレーション・アンド・メンテナンス)までトータルソリューションを展開する。合併後初の決算となる2014年3月期の売上高は100億円を見込んでおり、両社合わせた前期売上に対し70%近い増収となる模様。急成長を遂げるアンフィニの実力を探る。

経営トップの親川氏は改組の目的をこう語った。

「来々期の上場に向けた準備です。従来は、EPC、IPPは親会社のアンフィニが、モジュール製造はジャパンソーラーが手掛ける体制でしたが、これにはアンフィニグループのモジュール製造部門を法人化することでモジュールメーカーという位置づけを明確にするという意図があったのです。ただ、今はトータルソリューションが求められている。両社で業務が重なる部分もあったので、効率化とシナジー効果を図って統合することにしました」。

アンフィニは18年、創業20年目の節目に株式上場の好機を得ることになるが、背景には、創業者である親川氏の先見性と迅速な判断力、そしてアンフィニという組織そのものに変化を厭わない柔軟な対応力が備わっていたことが大きい。それは社歴からも見て取れる。

同社は95年の設立後、リサイクル事業をスタート。非鉄金属や液晶、半導体と、扱う品目を増やし、06年にはシリコンの高純度化・再利用法を構築。端材シリコンから不純物を抽出し、リンやボロンを調合してシリコンを再生する技術だ。これが大きな転機となった。

当時は太陽光発電産業の黎明期。半導体で使われていたシリコンが太陽光発電で使用され、やがて太陽光発電が半導体に取って代わる。この潮流の変化を親川氏は察知して太陽光発電に舵を切るのだが、氏はその先の先まで見通していた。

「当時は太陽電池用のシリコンは逼迫しており、純度9N(99.9999999%)の高純度品は手に入らなかった。それだけに再生技術でつくった6〜7Nの製品も一定の需要があったのです。そのままシリコン事業を続けるという選択もあったが、シリコン価格はやがて急落すると予測し、奮起してモジュール事業に踏み込みました。ただ欧州市場を視察していたので、モジュール工場を持つことのリスクも把握していた。行き着いた先が〝ファブレス〟メーカー、ジャパンソーラーの立ち上げでした」。

つまり、シリコンの再生技術を用いてシリコンメーカーやセル・モジュールメーカーらと関係を築き、工場の一部を間借りして独自のモジュール製造を始めたのであるが、その際も、モジュールの生産拡大によるリスクを想定していたのだ。

「やるからには競争に勝たなければならない。カギはコストと品質。我々はシリコン原料の調達・販売を通じて得た取引先のなかから、品質とコスト競争力に優れているメーカーと組み、独自の優位性を打ち出した。特に原料(BOM)には徹底して拘りました」。

以後ジャパンソーラーは販売を伸ばし、現在の出荷量は月間10MW。提携工場は6社にのぼり、年産1GWの供給力を保有している。

ジャパンソーラーの代表取締役社長を務めたアンフィニ取締役の上谷真也氏は、「当社の強みは結晶系から薄膜系まで多品目を扱っていること。再保険にも加入しており、金融機関のバンカビリティにも配慮しています。全量売電向けから住宅向けまで販売は好調で、いま農業向けの新製品を開発中です」と状況を語る。