既築から新築まで 独自サービスで業容拡大
エステート24ホールディングスの飽くなき大望
住宅用太陽光発電システムの販売・施工で急成長を遂げるエステート24ホールディングス。既築住宅への訪販を端緒に業績を伸ばす一方、独自の保証サービスを付与したブランド化戦略を打ち出す。ハウスビルダーと提携して新築住宅分野への商機を得ると、一気に事業を拡大。4期目となる12年12月期の売上高は対前期比ほぼ倍増の146億円という異例の躍進ぶりを見せた。その成長の源泉に迫る。
新築住宅、初期負担ゼロ
「次は新築住宅だ。太陽光発電の設置費用を住宅ローンに組み込むことができれば、お客様の初期負担は事実上ゼロになる。このスキームを是が非でも確立させる」。
ちょうど1年前、晩春の頃だった。代表取締役CEOの秋田新太郎氏は定例の経営会議でこう発言した。これまでコンシューマ向けの営業経験しかなかったため、ハウスビルダーとの連携が伴う新境地への展開には、不安がないわけではなかった。しかし、それ以上の自信があった。
12年7月、その自信は確信へと変わり、構想は現実のものとなる。ハウスビルダー各社が、秋田氏のこの提案にすんなりと応じたのだ。
「貴社に弊社の人材を出向させ、商材を提供いたします。一切の経費は弊社が負担しますので、販売手数料だけ受け取ってください」。
依然として住宅不況が続くものの、3・11以降、太陽光発電システムを搭載した〝太陽光住宅〟の売れ行きは好調だった。太陽光発電システムは、もはや住宅を売るには欠くことのできない〝武器〟となっていた。しかも秋田氏から持ちかけられた取引は好条件。ハウスビルダーにとって、断る理由が見当たらなかった。
こうしてエステート24HDは、上場企業のパワービルダーをはじめ、大手住宅メーカー7社と矢継ぎ早に業務提携を結び、新築住宅分野への足がかりを得た。
ここで秋田氏は、かねてより温めていた〝初期負担ゼロ〟のスキームをハウスビルダーに提唱する。
「返済期間35年の住宅ローンのなかに、太陽光発電システムの設置費用を組み込むことができれば、住宅を購入する顧客は初期負担のない形で太陽光発電を据え付けることができます。新築住宅には太陽光発電が標準搭載されるという〝新たな概念〟を我々の手で創り上げるのです」。
ただ、これには金融機関の協力が不可欠だ。そこで利害が一致するハウスビルダーとともに秋田氏は金融機関を説得。長い交渉の末、ついにこのスキームを確立させた。
以後、新築住宅向けの太陽光発電システムの売上は右肩上がりで上昇。現在同社の月商は、既築向けの直販と量販店での店頭販売が4億円、代理店ルートが5億円に対し、新築向けはすでに6億円に達している。