20年の〝高耐久〟架台開発 奥地建産の飽くなき挑戦

産業用架台の標準化 低コスト、高品質の一挙両得

一方、産業用架台の販売も強化している。同社は、産業用太陽光発電向けの標準架台を開発、今年から販売を本格化した。オーダーメイドで製造していた従来の製品と比べ、低コスト化かつ高品質化を実現。今年4月より折板屋根用を『サンキャッチャー』の商品名で、7月からは地上設置用をそれぞれ発売した。

同製品の特長は、レール式で局部的にかかる屋根への負荷を軽減したほか、素材に鉄を採用し、強度を高めた。同社では、モジュールと架台の耐力を評価するため、国土交通省の告示に基づく耐風圧試験を実施。耐力は目標荷重の2.5倍を超えている。

奥地社長は、「当社では、砂袋をモジュールの上面に乗せ、実際に加圧して架台の強度を確認しています。なかには、構造計算さえクリアすればそれでよいとする業者も存在するようですが、実際に力を加えてみないと、分からないことが多々あるのです。私は構造計算だけでは不十分だと考えます」と語り、荷重試験を自動的に行う新たな装置を導入、一層合理化を図っている。

注目すべきは、架台の使用環境に合わせて高度な表面処理を行い、20年の〝高耐久〟架台を製品化した点である。大阪府松原市の本社工場には、CNC三次元測定器やマイクロスコープ、発光分光分析装置を設置し、かねてより架台の材質まで細かく調べ、劣化や腐食の原因を分析していた。これによって、過酷な塩害地でも腐食の進行を食い止める高耐食性溶融めっき仕様の架台の開発に成功。産業用架台にもこの表面処理を取り入れ、20年間の使用を可能にした。そこで、同社はこの表面処理を行った製品については20年の製品保証を付与している。

このほか、コストパフォーマンスの高い、手頃な架台として、『サンフレックス』も販売。使用条件にあわせて、ユーザーが幅広く選択できるように、ラインナップを拡充した。こうした製品開発が功を奏し、産業用架台の売れ行きは好調である。現在、産業用架台の出荷量は年間12MWにのぼっている。

(左)奥地建産が独自の基準で行なう荷重試験の様子。太陽電池モジュールを支える架台には、強風や積雪に耐え得る強度が求められる。同社では、通常よりも厳しい条件で荷重試験を行なっている。(右)全国各地で暴露試験を実施。塩害の影響を受ける海岸沿いにも設置して、腐食の進行状況などのデータ収集を行なう。こうして20年の“高耐久”架台が開発された。