[特別対談 第33回]

セカンダリー市場の可能性

再エネ鑑定センター 小野賢次社長×ESI 土肥宏吉社長

ヨーロッパ・ソーラー・イノベーションの土肥社長による特別対談。お相手は、太陽光発電所を鑑定する再エネ鑑定センターの小野賢次社長だ。太陽光発電所のセカンダリー市場が創出されつつあるなか、その可能性について意見を交わした。

プロフィール●土肥宏吉(どひ・こうきち)1973年東京都生まれ。97年一橋大学商学部卒業後、遠心分離機大手の巴工業に入社し海外営業に従事。2011年ドイツで太陽光関連企業を設立。12年に太陽光専門商社ESIを設立し、代表取締役に就任。

土肥氏●FITを活用した太陽光発電所の新規開発が減少しても、太陽光発電所の購入を希望される方は少なからずいらっしゃいます。買い手が存在すれば、売り手は必ず現れますから、既設の太陽光発電所を売買するセカンダリー市場は今後活性化するように思うのですが、実際のところはどうなのでしょうか。

そこで今回は太陽光発電所のセカンダリー取引において、発電所を鑑定されていらっしゃる貴社に、色々とお伺いできればと思っています。それでは貴社のご紹介をお願いいたします。

小野氏●当社の前身は2016年にスタートした『太陽光買取鑑定センター』です。その後、三共建設を核とするサクセスキーグループとして19年10月に設立されました。当グループは、太陽光発電所のEPC(設計・調達・建設)やO&M(管理・保守)を一気通貫で手掛け、出力2MW未満の高圧太陽光発電所を年間80ヵ所、累計で300MW以上建設してきたので、その知見を活かし、既設の太陽光発電所の鑑定を本格的に始めました。

土肥氏●なるほど、膨大なEPCとO&Mの実績があるからこそ、太陽光発電所の良し悪しを具体的に示すことができるのですね。ところで、貴社が太陽光発電所を鑑定される際、主にどのような点をチェックされるのでしょうか。とくに重要な部分などがあれば、ご教示ください。

小野氏●設備の電気的なチェックは必須ですが、許認可の書類や施工の図面を確認し、施工法が地面の状態などに適したものかどうかをよく確認します。水みちができていたり、法面が崩れていたりする事例が多いので、ここは重要項目と言えるでしょう。そのほか、事故履歴はとくに重要なので、監視システムを設置して履歴を残しているかどうかも確認します。基本的に200項目ほど確認し、太陽光発電所を10段階で評価しています。