RE100電力、調整力取引ルール変更に向け準備万全
蓄電所のアグリゲーションを手掛けるRE100電力が、調整力取引ルールの改定に伴い、体制を整えている。システムを更新し、蓄電事業者の利益向上に努める構えだ。
電力の需給バランスや周波数制御に必要な調整力を取引する需給調整市場は蓄電事業者にとって欠かせない市場である。2024年4月から、一次調整力、二次調整力①、二次調整力②、三次調整力①、三次調整力②と、5つの商品枠での取引が可能になり、蓄電事業者は収益性を高めることができるようになったからだ。
しかし、4月以降、調整力の募集量に対して応札量が極端に少なく、全商品で必要量の2~8割が不足する事態が続き、落札価格が高騰した。調整力調達費の増加は託送料金の上昇に繋がり、国民負担の増大を招きかねないため、国は制度の改定を講じ、それによって蓄電事業者は振り回されることになったのである。
もっとも、需給調整市場取引は、半ば試験的に進められている側面もあって、ルールが二転三転する。
たとえば、週間商品である一次調整力と二次調整力①、二次調整力②、三次調整力①の4商品は、原則、実需給の前週火曜日に開催する需給調整市場で取引が行われる。ただ、予測誤差にも対応可能な二次調整力②と三次調整力①は前日の追加調達も可能だったほか、これらは三次調整力②と一定程度の代替が可能なことから必要に応じて前日取引の三次調整力②の募集量に上乗せするというルールがあった。だが、二次調整力②と三次調整力①の前日の追加調達が一時中断となり、上限価格が設定されていない三次調整力②が高騰したため、24年6月には三次調整力②の募集量が削減されることになったのだ。
なお、25年度から三次調整力②では、3時間だった継続時間が30分に短縮され、45分以内だった応動時間は60分以内へと延長される。26年度には、週間商品の二次調整力②と三次調整力①が前日取引になる予定だ。このほか、蓄電事業者には、総括原価方式に基づき、限界価格で入札するようルールが改定されるなど、需給調整市場の市場環境は大きく変化している。