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今こそ学ぼう 蓄電設備の選び方

人気のトライブリッド

では製品動向を解説する。

住宅用では、現在はハイブリッド型蓄電設備が主流だ。太陽光発電設備と蓄電設備を一緒に導入する、あるいは太陽光発電設備が導入済みでも太陽光発電用PCSが古くなった場合に選ばれるケースが多いようだ。なかでも蓄電容量10‌kWh以上で、通常時と自立運転時出力ともに5kW超の大容量全負荷対応製品が人気だ。ニチコンやオムロンソーシアルソリューションズ、ダイヤゼブラ電機といった日本メーカーのほか、中・ファーウェイに中・ジンコソーラー、台・デルタ電子といった海外メーカーも製品化している。

単機能型蓄電設備も底堅い需要がある。大規模停電が多発し、蓄電設備だけ購入したいという声が増えているからだ。さらには、太陽光発電設備があっても、ハイブリッドPCSに交換すると太陽光発電設備の保証が切れる場合が多いうえ、太陽光パネルとハイブリッドPCSの相性を確認しなければならないため、単機能型の方がよいというわけだ。ニチコンや伊藤忠商事、米・テスラの製品が人気で、京セラが22年より量産を開始した粘土型蓄電池採用品も単機能型である。

EVの本格普及を前に、トライブリッド型蓄電設備の存在感も高まっている。特に新築住宅で太陽光発電と蓄電設備を設置する際に、EVの購入を見据えてトライブリッド型が選ばれるケースが増えている。トライブリッド型はニチコンが生み出した製品で、同社は18年にいち早く製品化し、22年4月には自立運転時の定格出力を約2倍の5.9‌kWまで高めるなど従来機から大幅に改良した新製品を市場投入した。ダイヤゼブラ電機も東京電力ホールディングスと製品を開発し、22年度中の発売を目指している。

産業用蓄電設備はまだ出荷台数が少ないが、今後は自家消費用途で普及していきそうだ。というのも、自家消費用太陽光発電設備の導入補助の条件が、蓄電設備を併設することになっているためだ。産業用は特に価格競争力の高い海外製が人気で、ファーウェイ製などが人気のようだ。一方で、ニチコンが産業用のトライブリッド型蓄電設備を6月に、ダイヘンが再使用蓄電池を採用した単機能型蓄電設備を9月にそれぞれ売り出すなど、日本勢も攻勢を仕掛けている。

再エネが普及するとともに、蓄電設備の需要も確実に増していく。国は現状世界で1兆円程の定置用蓄電設備市場が、30年に7兆円、50年には47兆円まで伸びると推測している。個人や企業のほか、再エネ発電事業者や電力小売り会社など、利用者も多様化していく。EPC(設計・調達・建設)企業や販売会社はいまのうちから提案しやすい製品を見定めておこう。

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