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エクシオ、電力損失低減に向け、直流給電技術の実証開始

通信工事大手のエクシオグループは2024年3月、太陽光パネルや蓄電設備を用いた直流給電技術の実証試験を開始した。直流給電で電力変換損失を抑え、発電量の最大化を狙う考えだ。

従来のMPPT(電力最大点追従)機能が搭載されたPCS(パワーコンディショナ)を使い、太陽光パネルで発電した電力を蓄電池にためてから施設内に給電すると、電力変換を最大4回行うことによる損失が発生する。同社によれば、電力変換の度に10~15%程の損失になるという。

そこで同社は、直流変換器を省き、太陽光パネルと蓄電池のほか、過電流を防ぐ半導体遮断器などで構成する直流給電技術を開発した。

同社電気・環境・スマートエネルギー事業本部スマートエネルギー本部の金井康通担当部長は、「千葉で行なった実証試験では、PCS内の変換によって電力損失が30~40%になる場合もあった。この損失を最小化しようと考えた」とし、「電力変換器を減らせば、初期費用を抑えられ、ノイズの発生を減らすこともできる」と語る。

同社は、20年頃に研究開発を始め、京都工芸繊維大学と共同で太陽光パネルの発電電圧と蓄電池の動作電圧を適合させる機器選定の解析ツールを開発。太陽光パネルと蓄電池の電圧を最適化する設備を設計した。金井担当部長は、「パネルの温度特性や蓄電池の充電率(SOC)特性を考慮し、パネルの電圧を蓄電池の最大電圧よりも高くする必要がある。実用化する際は100kW程のユニットを想定している」と語る。

同社は、自社の事業所と京都工芸繊維大学のキャンパス内で実証試験を進め、実用化を狙う構えだ。

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