国内大手が住宅用蓄電池から撤退
NECに次いで東芝も
NECに次いで東芝が住宅用蓄電池事業に終止符を打つ。蓄電池需要の拡大機運が高まるなか、なぜ国内大手は撤退するのか。
「東芝の蓄電池は性能がよく、寒冷地でも設置できるため、使い勝手がよかったのに。やめる予兆はなかったので驚いた」と、東北に拠点を置く販売会社の社長は振り返る。
東芝グループで住宅用蓄電設備の販売を手掛ける東芝ライテックが、同事業を終息すると発表したのは9月14日。同社は昨夏、新製品を発売したばかりで、業界では戸惑いの声もこぼれている。関東のある販売会社の社長は、「我々がいい製品だと紹介して販売店に卸していたのに、いきなりやめることになって、販売店から苦情がきている。今、急いで代わりの製品を探している」と肩を落とす。
販売会社からの評判は上々だった東芝ライテックの製品だが、同社はなぜ販売をやめてしまうのか。
東芝ライテックは、「長寿命、安全性など性能面で差別化を図っていたが、(住宅用では)それを価格に反映させることが難しく、事業損益として厳しい状況が続いていた」(同社経営企画部)と説明。要は高額過ぎて売れなかったわけだ。
ただ、東芝グループとしては、東芝インフラシステムズが製販を手掛けるリチウムイオン蓄電池を成長事業に位置づけており、今後は製品の特徴を活かせる車や鉄道、その他産業用に特化する方針だ。
住宅用蓄電池市場では、今年に入ってすぐ、一時は販売シェアトップをひた走っていたNECが撤退を表明したことは記憶に新しい。理由について、同社は、製品販売ではなく、蓄電設備を活用する制御事業に特化するためと説明した。同社はグループ企業による蓄電池製造もやめるため、東芝とは方針が異なるが、両社ともいわば〝選択と集中〟を図ったわけだ。