認定遅れ、審査人員5割増も解決の目途立たず
今なお6ヵ月待ち
低圧用は動向を注視
住宅用を分離することで、杉山室長は、「低圧用はJP‒ACが今の人数で集中して審査できるようになる」という。ただし、低圧用は、50kWの発電所を同一敷地内に複数建設する分割型発電所かどうかの審査に特に時間がかかることもあり、回答までの期間を標準処理期間に戻す見込みは立っていない。
そこで、杉山室長は、「申請者の予見性を高めるためにも、標準処理期間を見直す方向だ」という。
なぜFIT法が改正されるタイミングで標準処理期間を変更しなかったのか。杉山室長は、「電子システムを入れるなど努力はしたが、予定外のことも多く、どうしても難しい部分はあった」と説明する。
予定外とは、申請に関する不備の多さだ。17年4月以降の新規認定の申込み件数は住宅用・低圧用合わせて約21万件だったが、そのうち書類などに不備があったものが7割にのぼったという。審査の手間も相応にかかった。
不備の内容は、電力会社の接続同意書や構造図・配線図などの資料の添付漏れが多かったほか、運転開始日の記入漏れも少なくなかったようだ。
ただ、始めから標準処理期間を変更しておけば、これほど市場が混乱することはなかっただろう。
あるメーカー幹部は「今回の認定遅れは、意図的に低圧発電所をつぶすためではないか」と推測し、「低圧は近隣住民とのトラブルが多い。地方の代議士に苦情が入り、それがエネ庁に回ってくることもあって、エネ庁も苦慮していたようだ」という。
これに対して、杉山室長は「地域との共生や持続性の観点から、問題のあるような発電所の開発はやめてほしいという思いははっきりある。ただ、そのために意図的に遅延行為を行っているということは断じてない」と言い切る。
とはいえ、いまの状況が続けば、民間企業からの政府への信頼は失墜し、エネルギー基本計画で示した官民協力で目指す再エネの主力電源化は到底実現しない。早期に解決し、信頼を取り戻すべきだ。業界としても早期解決を訴える必要があり、JPEAは今こそ政府に働きかける時ではないか。今後の動きに期待してやまない。