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西日本豪雨で露呈した太陽光の意外な弱点

水に弱い太陽光

ともあれ、災害時に役立つのが太陽光発電だ。停電が続いても、PCS(パワーコンディショナ)の自立運転機能が働き、限定的ながら電力を供給するため、東日本大震災や熊本地震の被災地では活躍した。では、今回はどうだったのか。

被災地には、太陽発電設備を搭載した住宅がいくつも建っており、屋根上の太陽光パネルはきれいな姿だ。だが、多くのPCSが水没し、機能を果たせずにいた。被災地では、大勢が炎天下での作業に追われ、冷蔵庫や扇風機が動くだけでも大きな助けになるのだが、水没したPCSは故障し、肝心な時に使えない。

倉敷市内で太陽光発電設備の販売・施工を手掛けるひだかやの中山善継社長は、「地面から30㎝程のところに低く設置されているPCSもある。当社では180㎝前後の高さに設置しているのだが…」と話す。

事実、ひだかやの顧客で、9.9kWの太陽光発電設備と蓄電池を設置していた倉敷市在住の小野浩さん(61)。7日の朝に自宅前の吉岡川が氾濫し、床下浸水に見舞われたが、軒下に高く設置されていたPCSはもちろん、蓄電池も無事だった。実は小野さんは7年前にも住宅が浸水しており、この冬に蓄電池のコンクリート基礎を70㎝余り嵩上げしていたのだ。

むろん、住宅の2階まで浸水した真備町のような事態には太刀打ちできないが、今回の豪雨災害を契機に、PCSや蓄電池の設置に関して、改めるべきところがあるのではないだろうか。

さらには、水没した太陽光発電設備の取り扱いについても、周知が必要だろう。絶縁不良の設備に近づくと感電の恐れがあり、短絡の生じている設備のブレーカーを迂闊に上げると、火災を誘発する危険性もある。すでに経済産業省やJPEA(太陽光発電協会)がホームページ上で被災者向けに注意を呼び掛けているが、販売・施工会社から顧客への働きかけも望まれる。

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