西日本豪雨で露呈した太陽光の意外な弱点
傾斜地設置はリスキー⁉
今回の大豪雨では、各地で土砂災害が多発し、太陽光発電所にも被害が及んだ。
兵庫県神戸市では、5日夜に山陽新幹線沿いの傾斜地に設置された23kWの太陽光発電所が崩落。安全確認のために、新幹線が一時運休する騒ぎになった。
山間に小さな集落の散在する広島県東部では、数えきれないほど土砂崩れの跡に遭遇した。三原市大和町では、長さ100m程にわたって生じた土砂崩れが、斜面下の低圧太陽光発電所を直撃。町内では際どいところで土砂災害から免れた太陽光発電所も見受けられた。
昨今は太陽光発電所を傾斜地に建設する例が増えているが、今回の事故からも明らかなとおり、傾斜地は平地よりも災害リスクは大きい。建設場所を選定する際には慎重を期すべきだろう。
中国経済産業局は、「停電からの復旧に向けた調査に力を注いでおり、太陽光発電所の被害報告の精査に手が回らない」というが、いまだに停電の続く地域が多いようだ。周囲の電力系統が停電している間は、当然ながら太陽光発電所のPCSが止まり、売電はできない。
また、いちごエコエナジーが運営する呉市内の2.9MWの太陽光発電所は8日に稼働を止め、いまだに再開できていない。同社の説明によれば、遠隔監視で破損がないことは確認済みだが、交通網が遮断され、現地確認が取れず、運転を見合わせている。少なく見積もっても売電損失は300万円以上にのぼる模様だ。同様に設備自体に影響がなくとも、売電損失を被った事業者が多数存在するものと思われる。
このほか、愛媛県大洲市にあるオムロンの委託工場が被災した。オムロンの担当者は現地の状況について調査中とし、PCSの生産は製造の中核を担うオムロン阿蘇や他の委託工場でカバーしているというが、PCSの供給に少なからず影響は出る模様だ。