米国が太陽電池に輸入制限
国外産セル・パネルに関税30%
1月22日、米政府は米通商法201条に基づき、米国外産の結晶シリコン型太陽電池に対し緊急輸入制限を発動すると発表した。これを受け、中国や台湾のパネルメーカーは対抗して米国内での工場建設を表明。米市場がざわついている。(米国在住ジャーナリスト・モベヤンジュンコ)
トランプ政権は1月22日、米国外で生産された結晶シリコン型の太陽電池セルと太陽光パネルに対して、4年に亘って関税を課すと発表した。1年目はセルとパネルに30%の関税を課し、以降は毎年5%ずつ引き下げ、4年目には関税を15%とする方針だ。
各年2.5GWまでは太陽電池セルを課税対象外とするほか、アモルファスシリコン型やCdTe型、CIGS型などの薄膜太陽光パネルに加え、電卓や腕時計などに搭載される民生用と、独立電源用の出力100W以下の結晶シリコン型太陽電池も課税の対象外とする。
1月23日に米通商代表部が発表した概況報告書『ファクトシート』によると、当初は課税対象外だった北米自由貿易協定加盟国のメキシコとカナダに加え、韓国、タイ、フィリピンも、今回課税対象国となった。
WTO(世界貿易機関)は開発途上国を原産地とする品目を輸入する場合、関税率を通常より低く設定するかまたは関税を課さない一般特恵関税制度(GSP)と呼ばれる措置を定めている。今回の輸入制限では、GSPが適用される国でも、タイとフィリピンは米国の太陽電池セル・パネル総輸入量のうち3%、ブラジル、南アフリカ、トルコなどは9%を超えると課税対象となる。タイとフィリピンは3%を超えるため、関税対象となった。