小型風車事故の真相
新興市場で露呈した課題
稼働直後に故障発生
事故を起こしたCF20は昨夏、青森県横浜町の海沿いに総建設費約3000万円かけて建設された。だが、稼働後1週間程度しか経っていないにも関わらず、当初予測していた発電量が得られなかったり、プロペラの回転が止まるなど、不具合が多発、施工担当者が何度か修理していたようだ。
事故が発生したのは、稼働から約2ヵ月が経過した10月3日の未明だった。周辺の住民は、「頭上でヘリコプターが飛んでいるような轟音が夜通し続いて、その日は一睡もできなかった」と当時の様子を語る。
あまりにも騒音が大きく、翌朝8時頃、住民の苦情を受けた横浜町役場が発電事業者に連絡。発電事業者はすぐに現場に駆けつけたという。結局、轟音を立てた風車は4日の夜にとまった。中の設備は焦げ付き、再稼働などできるわけがない。以降4ヵ月経過した現在も、発電事業者は一銭の売電収入も得ていない。
10月19日、C&F社や日本海事協会らは現場検証を実施。C&F社は風車のプロペラ部分を持ち帰って原因を究明し、協会は11月21日付けでCF20のNK認証を一時停止した。
NK認証が一時停止になると、認証の効力は失われるが、メーカーが原因を究明し、対策を提示すれば、解除されるらしい。事実、過去に一時停止になった小型風車は2機種あるが、どちらも解除されている。
ところが、C&F社は1月10日、NK認証の一時停止の解除を断念すると発表したのだ。C&Fジャパンによると、事故の調査は終わっており、原因は、ブレーキシステムのオイル漏れの修理のために代用した圧力スイッチに不具合があったという。さらに、C&Fジャパンの漆谷敏郎社長はこう詳細に説明した。
「後の調査で、代替した汎用品の圧力スイッチに欠陥があったことが判明した。油圧ブレーキを制御するセンサに不具合が生じ、常にブレーキがかかっている状態になっていた」。
一方、風車は風速・風向を測って自動制御する機能を備えている。ただブレーキが常時かかっている異常状態を検知できなかったため、風があるにも関わらず出力が出ない状態を改善しようと、風を大きく受けようと働いた。その結果、強風の中で風車が回転を続け、過回転となって騒音が発生したのだという。
漆谷社長は、「遠隔操作での非常用停止機能が働かなかったのは、長時間ブレーキをかけた状態で回り続けたため、ブレーキシステムのディスクロータが摩擦で熱を持ち、配線が溶けたことなどが原因」とし、「最終的な事故原因が確定したので、今後自社のホームページで公表する」という。