小型風車事故の真相
新興市場で露呈した課題
自治体が規制強化
C&F社の製品欠陥による事故の余波は思わぬところに及んでいる。青森県横浜町が10月5日にガイドラインを策定し、小型風力発電所の建設に対して規制を強化したのだ。
ガイドラインの趣旨は、小型風力発電所の建設は民家から500m以上離れている場所しか認めない。ただし500m以上離れていても、700m未満であれば、その地域は緩衝地帯で、緩衝地帯に建設する場合は、周辺に居住するすべての世帯から承諾を得なければならないという内容だ。
ただ、横浜町の担当者は、「規制を早期にかけないと、風車が建設されてからでは遅いのでガイドラインを策定したが、今後は規制を緩和する方針」と話す。
先の事故現場は、住宅からすぐ側に位置していた。ガイドラインの規制がかかって稼働していない風車の中には、民家のすぐ裏に建てられているのもあった。周辺住民は、「小型風車と聞いていたが、建設されたのは想像していたよりも大きな風車だった。建設前の説明もなかった」と憤りを見せていた。
横浜町に次いで、青森県大間町もガイドラインを制定。住宅などから300m以上離れた場所しか、小型風力発電所を建設できないよう規制を強化している。先の横浜町役場の担当者は、「県外の自治体からガイドラインに対する問い合わせが増えている。問題は、風車の騒音だけではない。景観にも配慮して設備を導入してもらいたい」と述べた。
確かに、件の事故はメーカーの管理体制が甘かった点に問題がある。だがそれだけではない。住民の同意を得るなど、発電事業者が然るべき方法で設置していれば、ガイドラインが早急に策定されることはなかったはずだ。
そもそも風力発電は持続可能なエネルギーだったはず。しかし、それを扱う者が、利益至上主義に走って周辺との調和を無視すれば、たちまち〝持続不可能〟になりかねない。事業者の倫理観が問われている。