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波紋呼ぶ!3本バスバー騒動の真相

京セラが特許登録した太陽電池セルの電極設置法、〝3本バスバー〟技術を巡る騒動が、太陽電池業界で波紋を広げている。3本バスバーセルの生産が主流になりつつあるなか、京セラが12年3月に3本バスバー技術の特許を取得、9月には自社の特許を侵害している企業には警告を検討すると公表した。
しかし、3本バスバー技術を採用している多くのメーカーは製販を継続、なかには京セラの特許を認めないと主張する企業もあり、両者の溝は深まっている。

バスバーとは、太陽電池セルで発電した電気を取り出す電極である。この本数を増やすと、電極の電気抵抗が低下し、一枚のセルから電気を効率よく取り出せる。そこで、従来はバスバーを2本設置するのが一般的だったが、これを3本に増やした3本バスバー電極設置法が開発された。

ただ、単にバスバーを増やすと、セルの表面の受光面積は減り、発電量は低下してしまう。3本バスバー技術を有効利用するには、バスバーの幅や配置、あるいは、バスバーよりも細く交差する形で配置されるフィンガー電極の幅など設置の最適化を図る必要がある。

この画期的な技術を、京セラは独自に開発して、04年6月10日、特許を出願。特許庁の審査を経て、12年3月23日、特許番号『特許第4953562号』として正式に登録した。

しかしながら、3本バスバー技術は、京セラ以外のメーカーも採用している。たとえば、独・Qセルズやソーラーワールド、ボッシュ、中・サンテックパワー、インリーグリーンエナジー、JAソーラー、台・モテック、ジンテック、イートンといった海外勢である。国内のシャープやパナソニック、長州産業なども取り入れており、挙げれば切がない。

生産量で見れば、結晶系太陽電池の6割以上を占めるともいわれており、一般化された技術といえる。それだけに、太陽電池開発に携わる技術者の多くは、京セラが特許を取得した際、「まさか3本バスバー技術が特許登録されるとは」と、驚きの色を隠せなかった。

京セラもこの事実は認識しており、12年9月4日のニュースリリースでは、「3本バスバー電極は、現在、太陽電池市場で多くを占める結晶系太陽電池モジュールにおいて主流となっている電極構造」としている。

しかし、それを踏まえたうえで、「この特許に該当する電極構造を採用している企業に対して警告などを検討し、知的財産の保護に努めていく」(同リリース)としたため、騒ぎとなった。

3本バスバー技術が、京セラの特許を侵害することになるならば、日本で販売する多くのメーカーは、京セラにロイヤリティ料を支払わなければならなくなる。ある中国メーカーの幹部は、「当社も、今後は京セラさんにロイヤリティ料を支払わなければならないかもしれない。京セラさんの出方と他社の動向と伺いながら、対策を練っている」と、戦々恐々の様子だ。

京セラは実際、あるメーカーに3本バスバーの件で注意勧告しており、矛を収める考えはないようだ。京セラの前田辰巳副社長は語気を強めてこう語った。

「疑わしいものについては、当社の特許に抵触している旨をお伝えしている。あるメーカーさんからは、ロイヤリティ料を支払うので、3本バスバー技術を使用していきたいとのお話しをいただいている。ただ、3本バスバーを当社の特許として認めないという意見もある。当社は今後も粛々と主張していく」。

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