買取り価格10%低減
明か暗か!2年目の全量売電
部材費上昇反映されず
結局、委員会は最も安い設置費用を算定の基礎とした。非住宅用は28万円、住宅用は42.7万円とし、新たな区分は設けなかった。
実際10〜11kWに申請が集中しており、10kW以上500kW未満の申請件数が相対的に多かった。この点を鑑みて区分がないことが参入障壁になっていないと判断したのである。むしろ10kW以上500kW未満に区分を設けてインセンティブを高めれば、住宅用との不公平感を助長することになる。
しかし今回の算定は、あくまで12年12月までのデータがベースになっている。12月の政権交代後、円安に振れたことによる部材費の上昇分は勘案されていない。
実際モジュールの輸入価格は12月からわずか1ヵ月間で10%上昇したといわれている。いまや国産モジュールといっても、海外メーカーに製造委託するか、あるいはセルを国外から調達しているケースが大半。たとえセルから国内で製造していても、モジュール関連部材の原料となる銀や銅、アルミは輸入品だ。これらの価格は軒並み高騰しており、少なからず製造原価に影響が出るはずである。
原料費が上昇すれば、その他の太陽光発電関連機器・部材のコスト増も免れない。銅はケーブルに使用されるほか、PCSの構成部材であるリアクトルにも多く使われている。鉄鉱石の値上がりは、あらゆる製品に波及し、とりわけ架台への影響度は大きい。
さらに自民党政権下で進む公共工事。これが太陽光発電所を建設する土木系の人材不足に拍車をかけ、労務費の上昇を招いている。
また、地代の上昇も看過できない。いまや1㎡あたりの貸借料は200円を超えているケースが多い。にもかかわらず、今回は12年度の価格算定時と同様、土地貸借料は同150円として算定された。それだけに、今回の減額改定によって投資熱が冷え込む可能性を指摘する声もある。