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韓ハンファ、独Qセルズ買収でグローバル展開加速

「ハンファ・Qセルズ」発足 日本法人も事業統合へ

韓国の中堅財閥ハンファグループは、経営破綻した太陽電池世界大手の独Qセルズを買収し、10月25日、新たに『ハンファ・Qセルズ』として再スタートさせた。Qセルズの研究開発拠点をはじめ、ドイツ、マレーシアの工場や、海外の営業拠点など、大部分をハンファが引き継ぐ。これでハンファは、太陽電池の年産能力が2.3GWに達し、世界第3位に浮上する模様。日本法人ハンファ・ジャパンの金鍾瑞社長は、Qセルズの日本法人Qセルズジャパンを吸収し、商号を『ハンファ・Qセルズ・ジャパン』に改める意向を明かした。今年4月に起こった〝Qセルズショック〟は、ハンファの全面救済によって落着した。

ハンファグループは今年8月、Qセルズの管財人と交渉し、Qセルズを買収することで合意。その後、ドイツ・デサウロスラウで開催されたQセルズの債権者集会で、ハンファグループへの事業売却が参加者の過半数によって承認され、Qセルズはハンファ・ケミカルの傘下で再建を図ることが決まった。

そして10月25日、Qセルズの商号を『ハンファ・Qセルズ』に改名し、最高経営責任者(CEO)には、ハンファ・ソーラーワンから移籍したチャールズ・キム氏が就任した。これまでQセルズが行ってきた太陽電池の生産や開発、顧客サービスを継続していく。

ただ、買収額はまだ明らかになっていない。ハンファグループは買収に際し、Qセルズの営業債務を引き受け、その金額に応じて現金を支払う条件を呑んだ。それだけに、Qセルズの営業債務が明らかにならない限り、買収額も確定しないのである。ただ、Qセルズの負債額は多く見積もって5億ユーロ(約515億円)、買収額は数千万ユーロ(数十億円)程度になるとみられている。

ハンファグループに移管されるのは、ドイツ・ビッターフェルドヴォルフェンの研究開発部門と、年産能力200MWのセル製造施設および同120MWのモジュール製造施設、そしてベルリンの管理業務拠点である。海外拠点では、マレーシアの年産能力800MWのセル製造施設と、米国、豪州、日本の各現地法人が対象となる。従業員は、役員をはじめ管理部門の人員を一部削減するが、全従業員1550人のうち、1225人を受け入れる。

これによって、ハンファグループの太陽電池生産は、ハンファ・ソーラーワンの中国工場と、ハンファ・Qセルズのドイツ・マレーシア両工場の世界3拠点体制となり、年産能力は2.3GWに拡大する。

その一方で、ハンファグループは昨年、EPC(設計、調達、建設)から資金調達まで総合ソリューションを提供するハンファ・ソーラー・エナジーを設立。また、来年6月には、ハンファ・ケミカルが年産1万tのポリシリコン工場を稼動させる。これで、原料からセル・モジュールを生産し、太陽光発電所の建設まで一貫して手掛ける一大バリューチェーンが整う。これらが軌道に乗る2013年には、ハンファグループの太陽光発電関連事業の売上高は3000億円規模を超える模様だ。

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