25年度制度設計が本格化
需給近接型など支援強化へ
次年度以降の再エネ支援策の議論が本格化している。FIT・FIPの運用を検討する有識者会議では、需給近接型や次世代太陽電池の導入に対して支援を強めていく方向性が示された。(本誌・楓崇志)
FITやFIP(フィード・イン・プレミアム制度)を規定する『再生可能エネルギー特別措置法』の売電単価や対象区分などを議論する『調達価格等算定委員会』が始まった。2024年10月16日の会議では論点を整理し、25年度以降の制度改定の方向性を示した。
太陽光発電は、現行の30年目標の達成に向け、年間5GWから7.5GWのペースで導入する必要がある。地上設置型の適地が減少するなか、地域との共生を図りやすく、系統負荷の小さい屋根上設置型を推進する構えを明確にし、新たな支援策を講じる方針だ。
その一つとして算定委が提示したのが、電力の消費場所に導入する『需給近接型』の太陽光発電への支援強化だ。個人や中小企業が設備を導入する場合、投資回収年数の長さは障壁だ。そこで、住宅を含む屋根上設置の需給近接型の太陽光発電設備を早期に投資回収できる仕組みを検討する。
制度上、余剰電力の売電を支援する形になるため、従来のように売電単価を一律固定にするのではなく、稼働初期と後期で変更する仕組みを想定している。ただ早期回収を促すため、稼働初期にFIT売電単価やFIP基準単価を引き上げると、制度の利用者は、自家消費ではなく、売電を優先する可能性もある。
委員からは、「手形割引や売上債権を早期現金化するファクタリングのような民間の仕組みと同じになるので、それを国がやる必要性を示すべきだ」、「既築住宅向けの支援策として進めた方がよい」、「廃棄等費用の積立てを含め、持続性の担保が重要だ」といった意見が飛び交った。導入の弊害を懸念する意見もあっただけに最終的にどのような制度設計に落ち着くか注目だ。
また、前年度の算定委で見送られたペロブスカイト太陽電池などの次世代太陽電池を対象とした発電設備区分の新設も継続審議する見通しだ。