全量売電スタート! メガソーラー 全国17設備稼動
設備認定200件、150MW突破
記念すべき7月1日──。我が国でFIT(全量買取り式の固定価格買取り制度)が始動し、京都府や群馬県、兵庫県、福岡県など数ヶ所でメガソーラー発電所が稼動した。各地で開所式が開催され、孫正義氏率いるソフトバンクグループをはじめ、シャープや京セラ、東芝、ソーラーフロンティアら太陽光発電業界の主役が顔を覗かせた。
モジュールメーカーでは独Qセルズや韓ハンファら海外勢が早くも参入しており、競争激化の予感が漂う。当日は晴天に恵まれなかったが、多くの関係者が来場し、全量売電市場は初日から賑わいを見せた。
経産省によると、今年6月末までに全国で43の太陽光発電施設が認定され、このうちメガソーラー発電所は17件に上ったという。その後も設備認定された太陽光発電所は急増し、7月18日現在で出力10kW以上の産業用太陽光発電所の設備認定件数は200件を突破、容量にして150MWを超えている模様だ。
なかでも、注目を集めたのがソフトバンクの子会社SBエナジーがIPP(独立系発電)事業者として運営する「ソフトバンク京都ソーラーパーク」(京都府京都市伏見区淀樋爪町)である。
約8万9千㎡の市有地に整備された同発電所は第1基が7月1日に営業を開始した。出力は2.1MWで、9月1日に運転開始予定の第2基と併せて発電規模は計4.2MW。年間発電量は計420万kWhになるようだ。
EPC(発電所の設計、調達、建設)は、京セラの子会社の京セラソーラーコーポレーション、施工は京セラコミュニケーションシステムが担当。2基合わせた投資額は12億円に上り、モジュールは、出力242Wの京セラ製多結晶シリコン型モジュールが1万7360枚設置される。
式典の挨拶でソフトバンクの孫社長は、「今後も、国産モジュールを採用したいが、海外勢を閉め出す考えもない。日本メーカーにはコスト低減を進めてほしい」とする一方、「以前、再エネ設備を十数ヵ所、発電規模にして計200MW分つくると公言したが、既に11ヵ所の再エネ発電所の建設目途が立った。発電規模にして計230MW。このうち太陽光発電所が10ヵ所で、地権者との土地契約も合意に達している」と語った。
式典には、京セラの創始者、稲盛和夫名誉会長も出席し、「30年前、当社はこの伏見区でパナソニックさん、シャープさんとともに太陽電池の研究所を作った。毎年赤字で、なかなかものにならなかった。多結晶シリコン太陽電池を生産できるようになったのは10年以上経ってからである」とし、「今回のモジュールは当社がつくった国産パネルだ。中国勢が低価格で攻めてこようとも、当社は〝国産〟を堅持しコストを下げていく。八日市・野洲両工場の生産性は向上しており、十分利益が出せる。当社は今後も国内で生産していく」と方針を示した。
さらに、「中国勢が躍進しているが、やはり品質が大事。買取り制度は20年間だが、当社のパネルは30年以上の寿命はある。仮に設備の償却が20年で終われば、その後10年は余剰の利益になる」とアピールした。
SBエナジーは同日、群馬県榛東村でメガソーラー、「ソフトバンク榛東ソーラーパーク」(群馬県北群馬郡榛東村八州高原)の営業運転を開始した。約3万6千㎡の敷地に約1万枚のモジュールを設置、出力規模は2.4MWである。なお、EPCはシャープ、施工は佐藤建設工業が請け負った。