2013年に償還迎える転換社債
チャイナ・シンドロームに喘ぐモジュールメーカー
傷ついた財務基盤、増資リスクの可能性も
ただ、この状況は何もサンテックパワーに限った話ではない。転換社債を抱える彼らは、いずれにせよ償還のための手元資金が必要だと考えるのが一般的なのだろう。
12年1Q末でのバランスシートをみると、サンテックパワーの現金および現金等価物は6億6380万米ドル(約524億円)。これにたな卸資産、いわば在庫である5億840万米ドル(約401億円円)を評価すれば、何とか償還額を上回る。
だが、ある証券アナリストは「営業利益の段階で損失を計上する状態のうえに、キャッシュ欲しさに在庫を叩き売れば、赤字を生むために事業をしているようなもの。一体、何のための企業活動なのか」と切って捨てる。
では資金調達のため新たな転換社債を発行できるのか。「買い換え社債を発行するためには、いま以上の高い利率が必要になる」という。ならば金融機関から債務返済のためのリファイナンスなら可能なのか。それも「いまの財務基盤ならば、常識的には厳しい」というのが専門家である証券アナリストたちの意見だが、とすれば増資リスクの可能性すら浮上してしまう。
しかしその一方で、「サンパワーもトタルが買収してなければもたなかったかも知れない」という意見もある。これは昨年6月仏石油メジャー、トタルが13億米ドルを投じサンパワーを買収した経緯を指す。
またカナディアン・ソーラーを中国海洋石油(CNOCC)が買収するとの情報も聞こえてくるが、ファーストソーラーなどを対象にしたM&Aの報道は昨年から加熱気味。確証こそないが、比較的財務状態が良好なカナディアン・ソーラーに魅力を感じる企業は少なくないのだろう。
一方でキャッシュフロー、とくにサンテックパワーの投資活動に対するキャッシュフローは、12年1Q間にわずか130万米ドル(約1億270万円)を投じただけだった。わずか3ヶ月前には1億2760万米ドル(約1008億円)、前年同期にしても1億8710万米ドル(約1478億円)を投じてきただけに、「市場停滞、あるいはキャッシュの蓄えに動いたのか。いずれとも考慮できる」という。
さらに事態を複雑にするのが、世界中が有望視したチャイナメリカ(China-America)、中国とアメリカ2カ国間でのアンチダンピング、そして補助金相殺関税を巡る対立だ。
12年1Qの出荷量が400MW(推定)だったサンテックパワーでは、売上高の実に34%をアメリカで稼ぐ。だが、ダンピング認定および相殺関税によって、1Qだけで少なくとも1920万米ドルの損失を暗に示唆する。
11月末に予定された米商務省による最終決定、そして2013年に迫る転換社債。どのような結果になろうとも、チャイナ・シンドロームから脱するビジネスモデルの変革が必要とされる。