高効率太陽電池 国内住宅で躍進
パナソニック、日本トップを標榜 東芝、システム販売3倍増
製造コスト低減へ
この状況下、パナソニックと東芝は、新戦略を掲げた。コストパフォーマンスの追及である。
経済産業省は、毎年、補助金の対象となるPVシステムの上限価格を引き下げているため、割高な両社の製品が補助金の受給対象となるには、製品のコスト低減を進めなければならない。
そこで、パナソニックは、今年12月から、人件費やインフラコストの安価なマレーシアで『HITモジュール』の量産を開始する。高効率を維持したうえで、モジュールの製造コストの低減に踏み切る構えだ。さらに、パワーコンディショナや蓄電池などの関連機器の生産にも力を入れ、PV関連で売上高1100億円を目指すという。
東芝もコスト低減を進めているが、江尻部長は、「我々は海外の製造委託先で製品化する体制を採っているので、コスト競争にも柔軟に対応できるのが強み。他社製品との価格差は縮まってきている」とし、「現在、屋根一体型太陽電池の開発など、市場ニーズに合わせた商品ラインナップを模索中だ。12年度は国内シェア10%超を目指す」と自信を見せた。
同社は今年4月から、従来の東京本社に加え、中部支社、関西支社、九州支社にもPV部門の人員を配置し、営業強化を図っている。グリーンテックや高島、新興マタイなど有力販売会社を中心とした代理店30社とともに、販売を強化していく構えである。
FIT(全量買取り式の固定価格買取り制度)の導入により、中国や韓国などの安価なモジュールが輸入されると、住宅用PV分野も製品のコモディティー化が進む可能性が高い。国内メーカーの販売環境は厳しくなる一方であるが、パナソニックや東芝の事業モデルは、国内勢が生き残るための一つの解といえよう。
ただ、海外勢は、すでに住宅用PV分野へ単結晶シリコン型モジュールを売り出しており、コスト競争力に加え、品質向上にも力を入れている。国内勢も「単結晶」、「バックコンタクト」へシフトしているが、品質重視の戦略を採るならば、やはり〝世界最高〟の冠は必須である。