低圧太陽光の全量売電終了へ 自家消費の余剰のみ支援
来年度のFIT売価を決める議論が始まるなか、FITによる低圧太陽光発電の全量売電を終了する方針が示された。自家消費利用を前提とした余剰売電のみとなりそうだ。(本誌・岡田浩一)
「低圧太陽光を余剰に」。
10月28日、経済産業省は有識者会議『再生可能エネルギー主力電源化制度改革小委員会』の第3回を開催し、その方針を示した。同委員会は、再エネの主力電源化に向けて長期的な制度のあり方を検討する会合で、主に2021年度以降の制度の枠組みを議論する。
その委員会で経産省は、低圧太陽光発電に対して「自家消費用での普及を促すべき」との案を示した。そして善は急げといわんばかりに、現行の制度内で20年度から低圧太陽光発電の全量売電は認めず余剰売電にする方向で話をまとめた。
売電単価や売電期間、余剰の定義などは『調達価格等算定委員会』で話し合うようだが、11月19日時点ではまだ低圧太陽光発電に関する議論は始まっていない。
ポイントは余剰の定義だ。仮に総発電量の1割でも自家消費すれば、残り9割の余剰売電を認めるのであれば、地上設置型でも事業化は可能かもしれない。
だが、委員からは、「形だけの自家消費、実質全量売電のような〝抜け道〞を探る事業者が出てくるはずなので、余剰の定義を明確にすべき」との意見が出た。厳しい基準が設けられるのは想像に難くない。
ならば、低圧太陽光発電の地上設置案件は事業として成立しなくなるかもしれない。低圧太陽光発電所の開発に力を入れる販売・施工会社の社長も、「低圧の野立て案件は実質終わった。次を探らなければ」と危機感を募らせる。
ただ、適用開始時期はまだ決まっていない。20年4月の認定取得案件から適用するのか、あるいは一定の経過措置期間が設けられるのか。というのも、再エネ主力電源化制度改革小委で太陽光発電協会が「20年度も従来通り全量売電だと想定し、土地の買取りを始めている事業者もいる。経過措置を設けるべきではないか」と指摘したように、すでに土地の買取りを始めている企業が存在するためだ。