ファーウェイ、新製品続々

PCS(パワーコンディショナ)世界大手の中ファーウェイが相次ぎ新製品を売り出す。3月に低圧向け単相機の販売を本格化すると、6月に1500V機を、12月には最新型・次世代1100V機を出荷する。新製品の魅力に迫った。

低圧用新製品 SUN2000L–4.125/4.95KTL–JP

低圧太陽光発電所向けの新製品は、出力4.125kW機と4.95kW機の2つ。特長は、まず高い発電量が期待できる点だろう。電力変換効率が98.5%と高いうえ、小型機ながらMPPT(最大電力点追従機能)が2回路搭載されている。MPPTとは、日射量の変化に応じて電流と電圧を最適な値に整えて発電量を最大化する機能で、回路数が多いほど発電量が増える。

それだけに、スマートソーラーソリューション事業部の張巍巍本部長は、「小型機でMPPTを2回路搭載したPCSは少ないでしょう。同出力のPCSと比べ、多くの発電量が期待できます」と自信を見せる。

両製品は、機能も充実しており、O&M(管理・保守)の費用低減に寄与する。そもそも、低圧太陽光発電所のO&Mでは、日々の発電量監視が重要だが、計測装置の取りつけに数十万円もかかり、設置をためらう事業者が少なくない。こうした事情を踏まえ、通信機器世界大手メーカーであるファーウェイは、独自の通信・計測技術を活かし、PCSに発電量の計測機能を導入。同社のPCSを利用すれば、事業者は計測装置を購入する必要がなく、端末から常時太陽光発電所の状態を把握できる。

しかも、別途費用はかかるが、利用者の要望に応じて遠隔からのI‒Ⅴカーブ測定機能を組み込める。I‒Ⅴカーブは、電圧(V)を変化させつつ、それに伴って変わる電流(I)を測定し、両者の関係をグラフ化したもの。正常時はなだらかな曲線を描くが、異常時は波形が乱れるため、それによって異常の有無を判断できる。

このI‒Ⅴカーブ測定は、太陽電池の状態を詳細に調べる基本的な検査だが、通常は専用の測定器が必要になるほか、日射量が一定以上なければ実施できない。それゆえ現地で急に天候が悪化し、測定できずに無駄足を踏むことも珍しくないが、同社のPCSに遠隔I‒Ⅴカーブ測定機能を追加すれば、オンラインで高精度に全数のストリングを計測し、正確に故障位置を特定できるため、専用機器が要らず、測定の手間や費用を削減できる。

とはいえ、I‒Ⅴカーブ測定は、専門知識がなければ、測定結果から異常を判別できない。例えばI‒Vカーブが異常な曲線を示したとしても、それが影の影響か、故障によるものか、判断がつきにくいのである。

そこで同社は、AI(人工知能)によるビッグデータの処理を試み、I‒Ⅴカーブの波形から自動で故障箇所と原因を特定するアルゴリズムを組み上げた。事業者やO&M業者は、専門知識がなくても太陽電池の状態を詳細に把握できる。計測したデータは20年保存可能だから、経年劣化の診断に用いることもできる。

この小型機は、施工性にも優れている。新型PCSは重量が10.4㎏しかなく、1人の作業員が軽々と運べるほか、設置に際し特殊な工具は不要で、施工費の低減に繋がる。

また、新製品は単相型機であるため、絶縁トランスの設置が必要なくなる。顧客ニーズを満たすため、単相小型機を出すと同時に、好評の三相24.5kW機も継続販売する。

スマートソーラー事業部の薛武軍マーケティングディレクターは「低圧向けに単相機を望む声を多数いただきました」と発売の経緯を語る。

張本部長は、「低圧市場は安定した需要が長期的に見込めます。この商品をもって日本の低圧市場へ本格参入します」と意気込む。

新型PCSは、工業デザイン業界のオスカーと言われている国際的なデザイン賞である『レッドドット・デザイン賞』と『iFデザイン賞』を2017年に受賞している。なお、同社はJET認証を申請中である。

スマートソーラーソリューション事業部の張巍巍本部長