Looopが目指す品質管理
自社発電所で財務健全化
ベンチャー企業。それは時に革新的な商品やサービスを生み出し、業界に旋風を巻き起こす。しかし社歴の浅い組織ゆえに品質管理や法令遵守がお座なりで、躓きかねない危うさも覗かせる。新規参入が相次ぐ太陽光発電業界ではベンチャーの活躍が目立っているが、存続が危ぶまれている企業も少なくない。
そんななか、創業3期目にして年商50億円を射程に収めたEPC(設計・調達・建設)ベンチャー、ループ(東京都文京区、中村創一郎社長)が、品質管理や財務基盤の強化に取り組んでいる。同社の管理体制に迫った。
自然エネルギーによる循環(ループ)型社会を創るという理念を社名に織り込んで、ループが始動したのは2011年4月。当初から、現在の主力商品である出力50kW未満の太陽光発電システム、『MY発電所キット』の販売を構想していたが、実際に同商品を発売したのは同年12月。意外にも慎重な滑り出しだったが、創業者の中村社長はその理由をこう述べた。
「経験とノウハウの修得に時間をかけたのです。太陽光発電所を安く手軽に建設するというのが事業のコンセプトでしたから、中国からの調達ルートを確保し、競争力のある商品を販売できる体制は整っていた。ただ顧客の利益に資するには品質を担保しなければならない。そこをクリアにしない限り事業化には踏み切れなかった。では発電所の品質をどう維持していくべきか。これは難しい課題でした」。
「そこでまず自分たちの手で自社の発電所を建設することにした。第1号は出力16.6kWと小さいものでしたが、社員総出で汗を流して施工しました。そして運営していくと、太陽光発電所を20年間維持し続けていくためには何が必要か。そしてそのサービスを提供するEPC会社とはどうあるべきか。ユーザー目線に立つことで、少しずつ目指すべき方向性が見えてきたのです」。
そこで同社が掲げた目標は2つ、『品質管理の強化』と『財務の健全化』だった。
「モジュールやPCS(パワーコンディショナ)、架台といった太陽光発電所を構成する部材が20年間の使用に耐え得るものであること。それでも客先でトラブルは起こり得る。結局、当社が常に対応できる状態、つまり会社の永続性が重要だということに気がついたのです。品質管理の体制づくりとともに、強固な財務基盤を築き上げることが肝要だと考えました」。
同社は創業時から、コスト競争力のある商品開発に力を注ぐ傍ら、管理体制の強化にも着目していたのだ。