億晶光電(イージングPV)

自動生産ラインで巻き起こす次世代革命

モジュール生産の自動化は生産能力の向上や製品品質の改善のみならず、人件費の低減を可能とする。いまや、世界の一大生産地となった中国でも、多くのメーカーが競うように自動化ロボットを導入する。そのなかでも、今回訪問した億晶光電(イージングPV)は自動化ラインの導入を飛躍的に高め、生産性やモジュール性能の向上、コスト低減を実現した、いま世界から注目を集める1社である。

自動化比率、1MW・1パーソン未満

億晶光電の生産ラインに整然と並ぶロボットたち。彼らは器用にパネルを掴み、速やかにしかも正確にアルミフレームを装着していく。その光景を見た訪問者たちは一様に驚きの表情を見せるという。

億晶光電技術有限公司は中国江蘇省金壇市(上海から西へ約200㎞)に本社および生産拠点を置くモジュールメーカーだ。同社の特徴はもちろん、高度な自動化を追及したモジュール生産ラインである。2011年夏頃から自動化ラインは稼働を始め、単結晶および多結晶モジュールを生産。すでに年間生産能力にして500MWの自動化を終えた億晶の姿が、今後のアジア勢が目指すべき方向だと自負する。

金壇市にはすでにインゴット引き上げから、ウエハ切断、セルそしてモジュールまで一貫生産拠点を構築済みでもある。総生産能力は1GWに達し、リーディングカンパニーの1社に数えられるまで成長した。

その億晶にとって、転機は2006年に訪れる。当時、中国には1000社を超えるモジュールメーカーが乱立し、しかも、多くの企業は自動化とはほど遠い、人的作業に依存していた。だが、副総経理の孫鉄囤氏はある決断を下す。それが自動化生産への転換だった。

孫氏は中国でも太陽光発電の研究開発拠点として名高い上海交通大学教授時代を経て、2006年億晶に入社。入社後間もなく、同氏は中国国内の人件費が低かったその当時から、やがては高騰することを予見。さらにモジュール性能の品質改善にとっても、自動化生産設備の導入が必要だと提唱する。

この孫氏の陣頭指揮のもと、2007年億晶は自動化への舵を切る。まず第一期工事で着目したのが、セル生産のなかでも溶接工程だった。多くの中国勢が手作業によってはんだ付けをしていた時代だ。しかし、孫氏は設備導入を急いだ。急ぐにも訳があった。手作業では個人の能力差によって、製品品質にばらつきが出てしまう。品質のばらつきは再現性だけではなく、安全性にも疑問が残るためだった。

こうして自動化比率を高めながら、2011年に稼働を迎えた第2工場(西工場)は、いまではガラス処理や洗浄、切断、テープ、フレーム、梱包作業まで自動化を果たす。

最先端技術を導入した自動生産ライン。目視が必要な検品作業など一部の工程を除き、ほとんどの製造工程が自動化されている。