〝未稼働の象徴〟宇久島プロジェクトに立ち塞がる壁
FIT法が改正され、電力会社と接続契約を結んでいない未稼働案件は間もなく認定を取り消されてしまう。そんな〝未稼働の象徴〟とも言えるのが、出力400MW超、日本最大の太陽光発電所と謳われた〝宇久島ソーラーパーク〟だ。完成すれば、島の再生につながる夢の発電所だが、果たして実現するのだろうか。
宇久島ソーラーパークは、独フォトボルト・デベロップメント・パートナーズ(PVDP社)が2013年4月から推進する400MW超の建設計画だ。
その概要は、長崎県・宇久島の約630万㎡の土地に太陽光パネル172万枚を設置。島内の農地に営農用太陽光発電所を建設し、発電した電力を九州本土まで約60㎞の海底ケーブルで送電するというもの。
13年5月に、地元有力者・赤木順二氏が代表の宇久島メガソーラーパークサービス(UMSPS)が設立された。さらに14年6月には、発電事業を運営するSPCに京セラと九電工、オリックスが出資し、みずほ銀行がPF(プロジェクトファイナンス)を取りまとめることが発表された。
同プロジェクトは、当時国内最大の建設計画だったことに加え、〝島おこし〟の側面でも注目を集める。
宇久島は現在、約2000人余に人口が減少し、過疎化や高齢化の進行が顕著だ。だが、宇久島ソーラーパークが完成すれば、地元の地権者に毎年1㎡あたり200円の賃料が支払われる。営農用発電所が建設される農地では飼料作物を育てなければならないため、地元の畜産農家に農作業が委託され、着工後は整地や伐採、保守・管理などで100名以上の雇用が生まれるという。宇久島にとっては、新産業を呼び込む願ってもないチャンスなのだ。