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小型風車事故の真相

新興市場で露呈した課題

売電単価55円と魅力ある小型風力発電。太陽光発電事業者も相次ぎ参入しているが、昨秋青森県横浜町で発生した風車事故の原因が製品欠陥と判明し、風力発電業界に波紋が広がっている。事故の真相を追った。(本誌・中馬成美)

青森県横浜町の事故現場には風車が取り外され、倒されたタワー部分だけが取り残されている

件の事故機は、アイルランドの大手風車メーカー、C&Fグリーンエナジー社が製造した出力19.5kWの小型風車、『CF20』である。

C&F社は同機を販売代理店経由で販売、「日本市場でシェアトップの地位を築いた」(投資家筋)。だがその製品が昨年10月初旬に事故を起こした。今年1月10日には、C&F社が同機種のNK認証の一時停止解除を断念したため、風力発電業界に衝撃が走ったのだ。

NK認証とは、船舶や海事構造物の検査機関である日本海事協会が発行する小型風車の品質認証である。FITを活用して20kW未満の風力発電事業を始める発電事業者は、NK認証を得た風車を使わなければ、経済産業省の設備認定を取得できない。一時停止中のCF20はNK認証の効力がなくなるため、同機で設備認定を申請していた発電事業者の事業機会が失われかねない状況なのである。

とくに、単機で約20kWの出力があり、かつNK認証を取得した小型風車は、CF20を含めて2機種しかなく、CF20は受注を伸ばしていた。すでに設置されたCF20は9基程しかないが、同機で申請された設備認定の数は1000件を超えている模様だ。

事故現場のほど近く、民家のすぐ裏に建てられているCF20は止められたままだ

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