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2013年に償還迎える転換社債

チャイナ・シンドロームに喘ぐモジュールメーカー

いくら世界中でモジュールを売りさばこうが巨額の営業損失を抱えてしまう。壮絶なコスト競争がタリフの減額やダンピング(不当廉売)疑惑をも呼び、その結果がさらに企業生命を脅かす。

絶対命題であるはずのコスト低減というたったひとつの行為が誘発するシンドロームに、いまやモジュールメーカーの多くが罹患したかのようだ。コストダウンを先駆的に果たした中国勢はもはや、自らの敵は中国メーカーだと世界を舞台に互いを傷つけ合う。

この症候群をチャイナ・シンドロームとでも呼べば良いのか。

そしてまたひとつ、チャイナ・シンドロームに新たな事態が生まれつつある。2013年以降、次々と償還を迎える転換社債がそれだ。発行企業にはJAソーラーやトリナソーラーなどが名を連ねるが、来年3月15日に期限を迎えるサンテックパワーは最大規模となる11億5000万米ドル。日本円にして約908億円の償還額を抱えている。

図らずも国内では堺工場の低稼働に喘いだシャープが、工場の減損リスクや来年9月に迫った2000億円もの転換社債を前にして、台湾のEMS(電子機器の製造受託サービス)最大手である鴻海(ホンハイ)グループから出資を仰いだばかり。

過去最大となる10億670万米ドル(約842億円)の最終赤字を抱え、サンテックパワーの財務基盤も大きく傷つくなかで、営業キャッシュフローの積み上げには困難が予想される。市場からは資金調達の危うさを指摘する声が囁かれ始めた。

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