バックナンバーのご案内
PVeye 2012年12月号
特集「波紋呼ぶ劣化現象 PIDとは何だ 太陽電池の発電機能を奪う 未知なる劣化メカニズムに迫る」
特集)波紋呼ぶ劣化現象 PIDとは何だ
太陽電池の発電機能を奪う未知なる劣化メカニズムに迫る
ニュース)韓ハンファ、独Qセルズ買収でグローバル展開加速「ハンファ・Qセルズ」発足 日本法人も事業統合へ/独SMA、日本市場でパワコン拡販
Professional Vision)ハンファ・ジャパン金鍾瑞社長
データ)世界市況データ/再生可能エネルギー特別措置法における賦課金の減免措置を受けた主な事業者/国内太陽光関連企業2012年四半期決算
在庫切れのため購入できません
特集・波紋呼ぶ劣化現象 PIDとは何だ
太陽の光を燦々と浴び、その光を素子によって電気エネルギーに変える。太陽電池が持つこの発電機能がある特殊な環境条件下。高温多湿でガラス表面が水分で覆われ、これに高電圧ストレスまで揃うと瞬く間に失われてしまう。
Potential Induced Degradation―――電位によって誘発された劣化と直訳されるPID現象がそれだ。このPIDの恐ろしさは外観的な症状をまるで持たず、一度でも罹患すれば、パネルから100%近くもの発電機能を奪い去りかねない。その感染性の強さにある。
全量買取り制度が始動したいま、発電事業者へ経済損失となって覆い被さるPIDが、ここ日本でも大きな波紋を呼ぶ。だが可逆性という性質から劣化ではないとする意見や、あるいは「PIDはもはや解決済みだ」とし、一過性のブームに過ぎないとの見解もある。
時間軸のかけ違いなのか、PIDを巡る議論はときに平行線をたどる。その最大の原因はいまだ究明されぬ劣化メカニズムにあるのではないか。なぜなら、原因解明なくして終息も永遠に訪れないからだ。
発電機能を消失させるPIDとはいったい何なのか。未知なる謎に迫る。
破壊分析によってPIDの謎を追う
日清紡ホールディングス 仲濱秀斉 新規事業開発部 高信頼性材料グループ部長
外観的な症状を一切持たず、ある特殊な環境条件が揃いさえすれば、短期間のうちに発電劣化を引き起こすPID現象。この未知なる劣化メカニズムを解明しなければPID問題は、永遠に終息しない。
その解析手法の一つとして、発光状態のセルを撮影するエレクトロルミネッセンス(EL)、電流を流し発熱現象を捉えるサーモグラフィ、そしてラマン分光この3つを組み合わせ、PIDに隠された謎を紐解く取り組みがいま進む。
セル
"溜電"を逃がせ!カギを握る製膜技術
いま、我が国の太陽光発電業界で脅威が増しているPID(Potential Induced Degradation)。その解決策は複数考えられているが、最も現実的なのが太陽電池セルの製造工程における措置である。ここに来て、太陽電池メーカーは、"耐PIDセル"なるものを販売し始めたが、いったいどのような対策を施しているのだろうか。
封止材
高度な絶縁性で漏れ電流を弾く
ポリオレフィンが救世主となるのか
PIDなる未知との遭遇をはたしたいま、世界はこの現象とどう対峙していくのか。発生原理の体系化、さらに評価基準すら存在せず、マーケットは混乱に陥ったかに映る。だが、それでもなお解決法を求め、モジュール構造からのアプローチとして、封止材料にひとつの解を見いだそうとしている。たとえ高電圧が印加され、漏れ電流が発生しようとも封止材料の絶縁性。つまり高い電気抵抗さえあれば、マイナスにしろ、プラスにせよ、漏れ電流からの駆動力を奪い取れる。力を失った電荷は、もはやセル表層の反射防止膜に帯電することもない。封止材が発電劣化の切り札となるのか。その可能性を探る。
6~8
韓ハンファ、独Qセルズ買収でグローバル展開加速
「ハンファQセルズ」発足 日本法人も事業統合へ
韓国の中堅財閥ハンファグループは、経営破綻した太陽電池世界大手の独Qセルズを買収し、10月25日、新たに『ハンファ・Qセルズ』として再スタートさせた。Qセルズの研究開発拠点をはじめ、ドイツ、マレーシアの工場や、海外の営業拠点など、大部分をハンファが引き継ぐ。これでハンファは、太陽電池の年産能力が2.3GWに達し、世界第3位に浮上する模様。日本法人ハンファ・ジャパンの金鍾瑞社長は、Qセルズの日本法人Qセルズジャパンを吸収し商号を『ハンファ・Qセルズ・ジャパン』に改める意向を明かした。今年4月に起こった"Qセルズショック"は、ハンファの全面救済によって落着した。
独SMA 日本市場でパワコン拡販
鹿児島70MWの一括受注で躍進
パワーコンディショナ世界最大手の独SMAソーラー・テクノロジー(ピエールパスカル・ウーボンCEO)が、日本市場で販路を拡げている。NTTファシリティーズが運営する千葉県佐倉市の太陽光発電所に大型パワーコンディショナを納入したのを皮切りに営業を強化。京セラなどが鹿児島市で建設している国内最大級のメガソーラーのパワーコンディショナを全量受注した。SMAは、発電規模に換算してすでに200MWを超える受注を抱えている模様。パワーコンディショナ市場は国内勢の牙城だったが、今後はグローバル化が加速しそうだ。
30
栄住産業
マグネット式施工法を提案強化
CSJ、Qセルズ、アブリテックなど続々採用
金属防水業の栄住産業は、太陽光発電市場へ向け、マグネット式工法の提案を強めている。強力な磁石を応用したもので、屋根に穴を開けずにパネルを設置できる。カナディアン・ソーラーやQセルズ、アブリテックジャパンなどで採用され、同工法の評価が高まっている。
11・34~35
四電工
モジュールは国産を選択
EPC今期17MW受注電工
四国の電気工事大手、四電工(香川県高松市、武井邦夫社長)は、四国全域で太陽光発電のEPC(設計・調達・建設)事業を本格化させた。メガソーラーの建設案件を複数抱え、今年度の受注量は17MWを超える見込み。来年から高知県安芸市でIPP(独立系発電)事業にも参入し、四国の自然エネルギーの普及に貢献していく構えだ。
日立産機システム
キュービクル一体型パワコン開発
全量売電市場へ積極提案
太陽光発電用パワーコンディショナやトランス(変圧器)の製版で実績のある日立産機システムは、全量売電市場への提案を強めている。今年5月には、出力100kWのキュービクル(昇圧器)一体型パワーコンディショナシステムを発売、年度内には、同200kW及び同300kWの一体型システムも市場投入する。トランス技術を最大限に活かしたパワーコンディショナでシェア獲得を目指す。
28~29
太陽光発電が次なる柱
来期売上400億円へ
金鍾瑞 ハンファ・ジャパン 代表取締役社長
経営破綻した独Qセルズを救済した韓国の大手財閥ハンファ。製造業や建設業から金融やレジャーまで幅広く手掛け、グループ全体の売上高は316億米ドル(約2.5兆円)、資産規模は877億米ドル(約7兆円)にのぼる。その大企業がいま、日本の太陽光発電市場で販路拡大に本腰を入れ始めた。日本法人ハンファ・ジャパンを指揮する金鍾瑞社長は、いかなるビジョンを描いているのか。
37
ユニパー
住宅用太陽光パネルリフト出荷2.3倍増 今期は産業用リフト投入
屋根材昇降機メーカーのユニパーは、太陽光パネル昇降機の販売実績を大幅に伸ばしている。2012年7月期は、住宅用太陽光発電向けへの出荷台数が、カスタマイズ品も合わせて約700台、前期比およそ2.3倍もの伸びを示した。今期は、FIT(全量買取り式の固定価格買取り制度)の始動によって産業用市場が立ちあがるなか、産業用パネルリフトを新たに投入、拡販していく構えだ。
38~44
大坪電気、故障検出システム開発、来年4月市場投入へ
英弘精機、第11回英弘シンポジウム開催 来場者200人超
ジャパン・ソーラー・パワー、IPP事業開始 年度内8MW目指す
エスイーエム・ダイキン、今期受注量15MW超へ
テュフラインランドジャパン、複合加速劣化試験サービス開始
旭化成建材、太陽光発電所に杭基礎工法を提案 今期20件完工へ
日本エネルギーホールディングス、台・AUO製モジュール拡販 設立初年で受注25MWへ
ニッケ、メガソーラー来秋稼動へ 出力10MW
西部ガスグループ、12年内に3ヶ所、総発電規模3.7MWすべて稼動へ
りょうしんメンテナンスサービス、産業用メンテ急増 月40件へ
DMEGCジャパン、横河システム建築と業務提携 パートナー4社と産業用拡販へ
フォトボルテック、施工請負事業12月より本格化
52
「現場ニーズに応えた部材開発で施工品質向上を」
西島貞夫 タップ工房 代表取締役社長
大阪府茨木市の太陽光発電施工会社、タップ工房の代表を務める西島貞夫氏は、建築板金業を生業とする職人として、97年に初めて住宅用太陽光発電システムを設置して以来、施工品質の向上を訴え続けてきた。それだけに、周辺部材の開発、施工研修といった職人への後方支援も惜しまない。高品質施工の実現へ。氏の足跡を辿った。
26
太陽光発電の総合イベント
「PVジャパン2012」開催
太陽光発電の普及活動に取り組むJPEA(一般社団法人太陽光発電協会、片山幹雄代表理事)と、エレクトロニクス国際工業会のSEMI(米国カリフォルニア州サンノゼ、デニー・マクガークCEO)は、千葉市美浜区の幕張メッセで太陽光発電の総合イベント「PVジャパン2012」を開催する。会期は12月5日(水)から7日(金)までの3日間。今年で5回目となる。
54
桑野幸徳 太陽光発電技術研究組合 理事長第七回/辛苦の1年3ヵ月
1979年、桑野はアモルファスシリコン太陽電池で世界初の工業化という偉業を成し遂げた。新聞各紙が取り上げ、大きな反響を呼ぶ。それはアモルファスシリコン太陽電池の技術開発力の評価にとどまらず、三洋電機の企業価値をも高め、株価が上昇するほどであった。・・・
50~51
1)パナソニックエコソリューションズ社、住宅用リチウムイオン蓄電システム
2)関西電機工業、樹脂製接続箱
3)エスペック、PID評価システム
46~49
世界市況データ(ポリシリコン、ウエハ、セル、モジュールのスポット価格) / 再生可能エネルギー特別措置法における賦課金の減免措置を受けた主な事業者 / 国内太陽光関連企業2012年四半期決算
発刊日 | 2012年11月24日 |
---|---|
定価 | 1,944円 |
コード | 雑誌80109-10 4910801091120 01800 |