O&Mと試算運用の専門セミナーが開催
2017.06.25
PVeye
O&M(管理・維持)と資産運用の専門セミナー、『ソーラーアセットマネジメントアジア』が、6月8日から9日にかけ東京で開催された。約50名の経営者や有識者が登壇し、講演や議論を展開した。O&M業者やディベロッパ、アセットマネージャーを中心に世界各国から250名が参加した。
初日はまず、経済産業省資源エネルギー庁新エネルギー課の呉村益生課長補佐が登壇し、改正FIT法の概要と日本の再生可能エネルギー政策の方向性について解説。続いて日本大学理工学部電気工学科の西川省吾教授が、自身が策定委員長を務めた『太陽光発電システム保守点検ガイドライン』について、内容の一部を説明した。
そこからメンテナンス技術とアセットマネジメントそれぞれのトピックで部屋が分かれ、セミナーが進んだ。
参加者の関心は、日本における太陽光発電の売電価格が減少するなか、建設費、運営費をいかに抑えるべきかという点である。50名の登壇者は、O&Mやアセットマネジメント、ファイナンス、EPCなど、それぞれの観点から、コストダウンを図る方法とそれによりどの程度収益性が向上するかを述べた。
例えば、O&Mを手掛けるエコライフエンジニアリングの蔵並弘人社長は、「O&M事業者は決まったプランを一方的に発電所オーナーに提案するのではなく、事前にオーナーと話し合ってその目線を理解し、発電所ごとに最適なサービスを提案すべきである」と主張する。
発電事業者のSBエナジー石井康司事業企画部長は「運営費の大部分は土地の賃借料とO&Mの費用が占める。ただ土地の賃借料はなかなか下げられないので、運営費を下げるとはO&M費用の削減に等しい。当社は遠隔監視から保険まで、すべてを1社に任せてコストダウンを図ろうとしたが、あまり効果がなかった。緊急時対応や除草など、場合に応じて地元の方に依頼するなどし、改善した」と経験を述べる。
2日目の冒頭、自由民主党再生可能エネルギー普及拡大委員会の事務局長、秋本真利衆議院議員が開会の言葉を述べた。秋本議員は、「再エネ政策に携わっている自民党の議員は、現状のエネルギーミックスをよしとはしていない。去年の5月時点で、再生可能エネルギーの導入量22~24%の目標はクリアしている。これから数字を上げていかなければいけない。個人的には、40%以上にしたい」と意見を述べた。
参加者からは、「海外の企業の方とアポイントを取れる数少ない機会だ」といった声や、「日本にはなかった専門的なセミナーで、勉強になる」といった声が聞かれた。
SAMAの主催者は、オランダのイベント運営会社、ソーラープラザである。同社はこれまでに北米、南米、イタリアで同様のイベントを開催している。日本市場の特徴について、シニアプロジェクトマネージャーのステファノ・クルック氏は、「アメリカ、ヨーロッパ、ラテンでは、入札制度やPPAを採用する国が増えつつある。一方日本は依然としてFIT制度を採用している点が、他国と大きく異なる。SAMAにはそんな日本の市場について理解を深めたい海外企業の方が多く参加している。日本企業の方にとっても、普段出会うことができない外資系企業の方に出会えるチャンスでもある」とSAMAの意義を語る。
各セッションの合間にはネットワーキングブレークの時間が用意され、参加者たちは登壇者らとも活発な意見交換を行った。ステファノ氏は「決定権を持つCEOや部長職の方が多く集まるので、単なる名刺交換では終わらない交流ができる。商談も早く進むだろう」と述べた。
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