藤崎電機グループ元顧問が贈賄 徳島地検が起訴
2018.11.30
PVeye
太陽光発電所を開発する藤崎電機グループの元顧問が贈賄罪で起訴された。メガソーラー建設地の農地転用で便宜を図ってもらうため、農業委員に100万円渡したとされる。同社は関与を否定しているが…。(PVeye記者・平沢元嗣)
起訴されたのは、藤崎電機(徳島県阿南市、藤崎耕治社長)の子会社で発電事業会社のガイアパワー(藤崎耕治社長)に勤めていた元顧問の西岡和義被告(67)と、阿南市の農業委員を務めていた田上明信被告(71)。
西岡被告が、徳島県阿南市長生町のメガソーラー開発に伴う用地の農地転用許可申請に際し、都合をつけてもらう見返りに田上被告に現金100万円を払ったとされる。徳島県警察は10月12日に2人を逮捕し、徳島地方検察庁は11月2日に起訴した。
徳島県阿南市長生町の5haに及ぶ建設地は、農業以外での使用を禁止する農用地区域内の農地だった。だが、西岡被告が2016年5月に50万円を田上被告の銀行口座に振り込んだ後、阿南市農業委員会は用地を荒廃農地扱いにして農用地区域内農地の指定を外した。農地転用が可能になったことでガイアパワーはメガソーラー開発を進め、17年7月に西岡被告は再び50万円を田上被告の銀行口座に送金したという。こうして、出力1.84MWの長生三倉第一発電所が昨年12月に、1.5MWの第二発電所が今年6月に運開した。
西岡被告は田上被告に渡した100万円を経費として計上していたが、これについて、「西岡氏は、開発によって太陽光発電所の傍を流れる小川に悪影響を出さないよう、知見のある田上氏の助言が必要で、水利アドバイザー料として田上氏に100万円払ったと説明していた」(関係者)。
西岡被告は、自身が所有する太陽光発電所開発に際しても田上被告に便宜を図ってもらうべく金銭を渡したとして、11月12日、田上被告とともに徳島県警に再逮捕されている。
藤崎電機は、西岡被告が逮捕された10月12日、「当社子会社元社員贈賄容疑の一部報道について」と題するリリースを公表し、「藤崎電機グループの組織的な関与によるものではない」と報告。小誌の取材に対しても、「事件の内容は話せない」としつつ、「藤崎電機グループとしてやましい点は一切ない」と強調した。
ならば、西岡被告は独断で贈賄に手を染めたことになるが、藤崎電機の元社員は、「藤崎社長は何もかも自分で決めたがるタイプ。社長が全く知らなかった可能性は低い」と話し、「他にも同じような事例はありそうだ」と疑念を抱く。
その一方で、「藤崎社長は、汚い手口を決してしない人。今回決済印を押してしまったのは注意力が足りなかったとしか思えない」という声もある。
いずれにせよ、メガソーラーの開発を主導したのは藤崎電機グループだ。法に抵触する行為が一担当者の独断によるものだったとしても、同グループに一切責任がないとは言い切れないのではないか。
ましてや、件のメガソーラーは稼動し、同グループは国民負担の伴う売電事業で収益を得ている。藤崎電機は運営を止めるつもりはないようだが、仮にもその事業が開発の過程で不当な手段が用いられたものであった場合、それを国民がどう受け止めるだろうか。
ただでさえ、太陽光発電に否定的な感情を抱く市民が増えているなかでの不祥事だ。太陽光業界全体の信用が失墜しかねない。事件発覚後の企業の対応が身の潔白の証明に終始するありようでよいのだろうか。
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