住宅用蓄電池、補助金要件が緩和 グリーンモード手動切替も対象
2019.04.30
PVeye
住宅用蓄電設備の新しい補助金の公募要領が発表された。想定よりも要件が緩和されており、蓄電設備販売の追い風になりそうだ。(PVeye記者・岡田浩一)
補助金を執行するSII(環境共創イニシアチブ)は4月8日、今年度から新しく始まる住宅用蓄電設備の補助事業、『災害時に活用可能な家庭用蓄電システム導入促進事業費補助金』の概要を発表した。補助金の対象設備をグリーンモード対応機としつつも、災害時の切り替え方法は手動対応も可能とした。
同補助事業は、災害時の蓄電設備の活用による停電被害の最小化を目的に経済産業省が2019年度予算案として要求していたもの。補助金の対象設備は、災害時に電力会社などの節電要請に対応できるものでなければならない。
対象機器の仕様は、まずエコーネットライトへの対応などZEH補助金の要件を満たしていること。そのうえで、災害時に宅内給電へ切り替えることができ、国や電力会社から節電要請があった場合にグリーンモードへ切り替える機能、あるいはグリーンモード固定で運転する機能を具備していなければならない。
ただ、メーカーが懸念していた災害時の宅内給電への切り替え方法は、『自動および不測の事態用として手動切り替えができること』となった。つまり、設備を遠隔制御できなくとも、所有者が手動で切り替えることができればよい。それだけに、あるメーカー担当者は今回の要件に対して、「ZEH補助金の要件を満たしていれば、ほとんどの機器が対象になるだろう」と胸を撫で下ろす。
目標価格超も対象に
一方、消費者が蓄電設備の購入にあたって補助金を活用するためには、蓄電設備の販売価格が一定の基準を下回っていなければならない。これは『目標価格』と呼ばれ、従来はその年度の目標価格を下回る蓄電設備しか補助の対象にならなかった。だが同補助金は、19年度の目標価格よりも高額な設備に対しても、18年度の目標価格以下であれば、補助額の半分が支給される。
具体的には、販売額が19年度の目標価格を下回る蓄電設備の場合、設備費の補助額が1kWhあたり2万円で、VPP実証試験に使用されている蓄電設備であれば補助額が1kWhあたり1万~2万円増える。さらに、工事費に対しては2分の1(上限5万円)以内。HEMS(家庭内エネルギー管理システム)を併設する場合は設備費の2分の1(上限5万円)以内が補助される。総額の上限は設備・工事費の3分の1、もしくは60万円のいずれか低い方だ。補助額は、ZEH補助金と比べて1kWhあたりは同等だが上限が大幅に上がっており、大型設備でも提案しやすいだろう。
同補助事業の予算額は38.5億円。概算で1万台程の蓄電設備の普及に寄与しそうだ。
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