ESI土肥社長が語る ドイツに見た日本の将来

2019.07.30

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 いま欧州の太陽光発電市場は、総じて伸びています。なかでもドイツ市場が最も大きく、2017年に1.76GWだった単年度導入量は、18年に2.96GWへ拡大し、恐らく19年はさらに上昇するものと思われます。予測では22年に4GW規模まで増えると言われていますから、今後は安定した成長が続くのでしょう。
 最大の要因は、FITから自家消費に移行したということです。欧州の至る所で太陽光発電の発電コストが一般の電気代を下回り、自家消費のマーケットが立ち上がっています。その傾向は電気料金の高いドイツ市場で著しく、ドイツでは蓄電設備の導入も加速しています。
 しかし、過去を振り返れば、かつてのドイツ市場は安定とはほど遠かったと言わざるを得ません。FITの政策変更に企業は翻弄され、これまでに多くの企業が撤退を余儀なくされました。何といっても、13年には単年度導入量が前年の7.6GWから3.69GWに約半減し、14年は1.9GW、15年には1.55GWまで冷え込んだのですから。厳しい企業間淘汰が進んだのです。
 その結果、ドイツ国内のパネルメーカーはほとんど撤退しました。それだけではありません。PCSや架台、蓄電池といった設備メーカーからEPC(設計・調達・建設)企業やO&M(管理・保守)業者まで、残った企業はごくわずかです。
 背景にあるのは、競争力のある中国企業のドイツ進出ですが、そもそも太陽光関連ビジネスには、極めて高い専門技術や技能は求められず、それゆえ参入障壁が低いという点を認識しておくべきだと思います。だからこそ、ここまで太陽光発電が普及したとも言えるのですが。
 さらにここに来て、ドイツではIoT(モノのインターネット)化やデジタル化が進んでいます。これにより、O&Mなどが急速に合理化され、ドイツでは発電事業を営むIPP(独立系発電)事業者が自前で手掛けているのが現状です。
 とはいえ、ドイツ市場で淘汰されずに生き残った企業があります。世界へ展開する大手企業がひとつ。もうひとつは、ローカルエリアでエンドユーザーに複合提案を続ける中小企業です。日本でいえば、地域の販売・施工会社ですね。
 これに倣えば、日本の太陽光関連企業は、大量生産や画一化、あるいはIoT化やデジタル化とは異なるところに付加価値を見出し、ビジネスモデルを構築していく必要があるのではないでしょうか。その点、FITの世界よりも、自家消費ビジネスの方が商機を見出せるように思います。


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